Levi's® x Jim Phillips

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老舗と重鎮が織りなすコラボレーション


ワークウェアから始まり、現代アメリカのユースカルチャーを代表するブランドとして成長してきたLevi's®が、

スケートアートのパイオニア、ジム・フィリップスとArtist's Retrospective Collectionの一環としてスペシャルコレクションを発表した。

これまでのスケートアートを形成する上でただならぬ貢献をした重鎮が、

今回のコラボレーションのきっかけを語るだけでなく、

若いアーティストに向けて重みのあるメッセージを届けてくれた。




ーまず、今回のLevi's®とのコラボレーションはどのように生まれたのですか?

Levi's®から2014年の春向けのArtist's Retrospective Collectionに私の作品を使いたいって連絡があったんだ。Levi's®がヨーロッパで自分の作品を使ってコンパクトなRetrospective Seriesを作ったのが関係しているかもしれないね。


ーLevi's®は昔からアメリカのユースカルチャーと共に育ってきたブランドですが、どのような印象を持っていますか?

若い頃からこれまで毎日Levi's®を穿いてきたし、こうやってコラボレーションができたのは光栄な事だね。基本的にラフなスタイルが好きだから、TシャツとLevi's®は自分にとって欠かせないものなんだ。私がハイスクールに通っている時はみんなLevi's®を穿いていたけど、当時のサーフィンやスケーターのスタイルといえばLevi's®のデニムとTシャツ、そして母親が買ってくれたローカットで黒のオールスターというのが定番だったんだよ。60年代の初頭はスケートシューズもなければ、サーフィンに特化したTシャツの市場もなくて、サーフショップが自分たちの店のロゴを背中にプリントしたものぐらいしかなかった。ほんとにそれだけだったんだよ。今と比べるとシンプルな時代で、俗にいう"クール"なものを買いに行く必要がなかった。なぜなら、もう自分たちが既にクールだと思っていたからね。


ースクリーミングハンドの刺繍は見ましたか? 出来映えには満足していますか?

Levi's®からちょうどサンプルを送るって連絡があって、実際のプロダクトを見るのがすごく楽しみだよ。Hitoshi Ishii(注1)がスクリーミングハンドの刺繍が付いたトラッカーベストの画像を送ってくれたんだけど、かなりクールな仕上がりで感動したね。しかもいろいろな国で自分の作品が落とし込まれた商品が販売されるなんてすごい事だと思うよ。自分のスクリーミングハンドがアメリカでもメジャーな店で見られるなんて今でも信じられないね!


ー多くのアーティストが尊敬する人物にあなたの名前を挙げますが、どう感じますか?

そう言ってもらえてすごくうれしいよ、これまでの努力が報われる思いだね。あと、私の名前を挙げてくれるアーティストたちはスケーターだと思うよ、やっぱり私のファンにはスケーターが多いからね。自分の人生を掛けて関わってきたカルチャーに良いインパクトを残せた事は、すごく意味のある事だね。なによりアートを自らのキャリアとして追求したいという若いアーティストのインスピレーションに自分がなれた事は言葉にできないぐらい嬉しいよ。



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(注1)2011年に日本と台湾で開催したJim Phillipsアートショー「THE DREAMERS」を企画したIN THE YELLOWの代表

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ー70年代と現在のスケートボードカルチャーで何か違いを感じますか?

大まかな違いで言うと、スケートボードが80年代の最初にサーフィンの一部から、独自のカルチャーとして成立したことだと思う。アーティストにとって自分の作品が全ての人に受け入れられる事は不可能だから、アーティストたちはサブカルチャーとかニッチな市場で自分の価値を確立していく。本来サブカルチャーはバラバラに分離したグループで構成されているし、定義や一つに囲う事も簡単ではない。さらに、そこから小さなサブカルチャーとして小さく分離していくものでもある。でもスケートやサーフィンはコアの部分を維持しながらメインストリームのカルチャーとして世界中で認知されているし、それが永続性のあるスポーツやアート表現を続けるに値する場所として成長したことが理由なのは間違いないだろうね。


ーどのようなところから作品のインスピレーションを得ているのですか?

自分の中にあるものからだね。それは、すべてのアーティストが磨かなければいけないものだし、自分のアイデアが詰まったバケツに自身の思いを突っ込んだものだと思う。他人とか自分の外からインスピレーションを引っ張ってくると、すぐに見透かされてしまうし、それはもう"既に存在するもの"になってしまう。自分から湧き出るものは、アーティストが自分のスタイルを形成する時期のアーティスティックな影響や経験によって作られるものなんだ。私にとって"自分から湧き出るもの"っていうのは、絵が描けるようになってから見てきた全てのアーティストの人生や作品が融合したもので、それこそ何百人といったアーティストや何千を超える作品や自分の感情やリアクションが詰まったものなんだ。古代イスラエルの王であるソロモンが三千年前に「太陽の下に新しきものなし!」と言っていたように、過去の失敗に含まれる浮遊物や瓦礫の中から新しく"見える"何かを作るのがアーティストの義務になっていると私は思う。


ー偉大なる先輩として、現在の若いアーティストにより良く生きるためのアドバイスを下さい。

とにかく描く事! 今は実際に画を描けるアーティストが絶対的に少ないように感じるね。でも、それがアーティストとしてのキャリアを支える重要な事だというのを忘れてはいけない。いつでも練習できるようにスケッチブックを持ち歩けば自分の周りのものが描けるし、良い所だけとったようなアーティスト達から自分を差別化する事ができる。それが面倒な事だと思ったらアーティストなんて辞めたほうがいい。なぜならアートは仕事であり、ピュアでシンプルなものだからね。技術的な欠点は全てのアーティストに共通する事だけど、それが自分のスタイルを確立することに繋がる。私は雑誌に画を送る事から始めたけど、それは自分の作品が世の中に出版される一つの方法だし、ポートフォリオ作りにも役に立つと思うよ。


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Interview: Hidenori Matsuoka, Translation: So