LEE BANNON INTERVIEW
LEE BANNON INTERVIEW
カリフォルニア州サクラメント出身ながら、アグレッシヴで創造力豊かなサウンドでイギリスの名門レーベル
ー初来日ということですが、日本の印象はどうですか?
今住んでるNYのブルックリンとは全然違うし、なんか未来に来たみたいな感じだね。ステージもいい感じだし、気合いも入ってるよ。いつもはVANSのSKATE HIしか履かないんだけど、せっかく日本に来たしスニーカーも普段はあまり履かないモデルを持ってきたんだ(笑)。
ーベテランのSOURCE DIRECTと競演ということですが、現在の心境は?
一緒にブックしてもらって光栄だよ。METALHEADZ、GOLDIE、SOURCE DIRECTにはすごく影響を受けてきているしね。一緒に食事をした時も機材について話せたし、すごく良い経験になったよ。今みたいに機材とか技術とかが溢れていない時に、良い音の出し方とか彼の持ってる知識とかを聞けたのはよかったね。
ーなるほど。そもそも音楽をはじめたきっかけはなんですか?
周りに音楽があったんだ。他のプロデューサーと同じように普通に音楽を作ってたんだけどスキルも上達したし、運にも恵まれてこうしてプロとして活動できるようになった感じだね。
ーでは、子供の頃はどのような音楽を聴いていたんですか?
やっぱりヒップホップだね。LOOTPACKとか、MADLIBが作る音はよく聴いていたよ。
ーアメリカ出身ながらNINJA TUNEと契約していたりと、UKを彷彿とさせるサウンドが特徴ですが自身はどのよう考えていますか?
ずっとNINJA TUNE系の音には影響を受けていたし、そういう系統の音は作っていたんだ。ただ周りにはもっとヒップホップよりのサウンドを期待されてきたし、UKっぽい音はあまり公開してこなかった。でも自分的にはヒップホップだけにこだわるんじゃなくて、違うスタイルの音を追求したかったんだ。あと、インターネットのおかげで住んでる所と実際のサウンドに違いがあるのが普通になったっていうか。A$AP ROCKYとかみたいにNY出身だけど、サウスっぽいサウンドも持っていたりとか、今じゃクリーブランド出身でもLA的なサウンドを作ってるアーティストもたくさんいるしね。インターネットが世界を狭くしたように思う。
ー実際にUKには行った事があるんですか?
うん、でもその時はJOEYと一緒だったんだ。だからヒップホップがメインだったけど、今度はドラムンベースのパフォーマンスができたらと思う。日程はまだ定かではないけど、ショーを行う予定だよ。
ー音楽レビューなどでは黒いAPHEX TWINなどと評されていますが、実際彼から受けた影響ってあったりしますか?
そうだね(笑)。彼は凄いアーティストだし、彼に近い存在になれたらヤバイよね。彼のおかけで自分がやってる様な音楽があるし、そういう風に言われるのは光栄だよ。
ーそういえば地元であるサクラメントからNYに引っ越したのはいつになるんですか?
一年半前だね。サクラメントにまた戻りたいと思ってる。ブルックリンはクールだけど、サクラメントが恋しいしね。生まれ育った場所で友達もいるし、スケートもしょっちゅうできる。カリフォルニアのユルめのバイブスもあるしね。シアトルや南部に引っ越して、ドープなプロジェクトをやったりっていう計画はあるよ。
ーNYの方が刺激が多いと思うのですが、サクラメントから受ける影響はあったりしますか?
もちろん。今あるスタイルに目覚めたのは、サクラメントにドラムンベースのシーンがあったからだね。DJ SHADOWもサクラメントに近い所の出身だし、彼の1stアルバムのジャケットになってるレコ屋で俺もレコードをディグっていたんだ。
ーアルバム『Alternate/Endings』のコンセプトを教えてくれますか?
そんなに具体的なコンセプトはないかな。いや、強いて言うなら新しい音の始まりだね。自分のサウンドにヒップホップを期待するリスナーって多いとおもうけど、もう一つのエンディングっていうか。古い音の終わりで、新しい音の始まりっていうのがコンセプトになってるよ。
ー今回のアルバムはドラムンベース色が強いように感じました。その反面でJOEY BADA$$などのヒップホップビートも手掛けていますが、彼とはどのようにつながったんですか?
マネージメントが同じで、JOEYを紹介されたんだ。そこから始まった感じだね。あと、JOEYとはもっと曲をリリースする予定なんだ。JOEYの曲を作ったおがけで、注目されるようにもなったのもあるね。
ー現在はビートメーカーとして活動しているのか、自分の楽曲製作に集中しているのか、どちらの割合が多いですか?
今はビートメーカーより自分の製作を優先させてるよ。数より質だし、クオリティコントロールはしっかりやっていきたいんだ。もっとアグレッシブなサウンドを追求していきたし、有名なラッパーからのビート製作の依頼があっても断るかもしれないよ。
ーでは、あなたが追求するサウンドとはどのようなものなのでしょうか?
プログレッシブなサウンドだね。たまに落ち着いた音を作るかもしれないけど、自分的には右肩上がりに進んでいるサウンドを作って行きたし、数年ごとに新たなサウンドを打ち出していきたいと思ってる。たまに古い音に回帰してみたりとかしながら、新たなスキルを学んで、音楽を作り続けることに重点を置いてるんだ。同じ事は二回もやりたくないからね。
ーこれからの展開は?
最近はハードでアグレッシブな音を作ってるんだ。パンクとかヘビーメタルのようなアグレッシブさを持ったがガラージサウンドっていうか、そういう音をどんどん作っていきたいね。
19th April, 2014, TEXT/INTERVIEW: SO
カリフォルニア州サクラメント出身、現在はNY在住のビートメイカー/プロデューサー。ブルックリンの若手ヒップホップ・クルーPRO ERAのプロダクションや彼らのツアーDJとして注目を集め、2014年1月にNinja Tune/Beat Recordsから『ALTERNATE/ENDINGS』をリリース。幼少期に影響を受けた90'sジャングル/ドラム&ベースのヴァイブを独自のサイファイ音響&漆黒ビーツで表現し、ベースミュージック・シーンを震撼している注目の存在。