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Posted by MA2

おそくなりましたがイスラエルのこと

昨年の11月末から12月頭にかけてイスラエルに行ってきました。

まさにニュースなどでガザ地区の空爆が報道された直後の事。
そもそもイスラエルの知り合いから「イベントあるから来ないか?」って誘われて、まぁ誘われないと一生行きそうに無い場所だからこの機会に行ってみようかなと気軽に思ったのがきっかけ。

だけど、アメリカやヨーロッパと違って国の雰囲気が想像しにくいし、その後のニュースを見て少々ビビったのが正直なところ。

まずはイスラエルの知り合いに勧められ、日本のイスラエル大使館を訪問。
いろいろな話を聞いたけど、とりあえずイスラエルは世界で一番入国審査が厳しいらしいということ。テロが起こっているということもそうだけど、ユダヤ、イスラム、キリストの聖地的な国として存在するから、いろいろと調べられ、同じ質問を何度もされ、答えに矛盾があるとさらに質問されるというのを繰り返すらしい。海外旅行に慣れている人でも3時間前には空港に行かないと、審査で遅れた場合でも飛行機は待ってくれないので気をつけて、とのこと。ずいぶん不安がらせる大使館だった。さらにパスポートにイスラエルのスタンプがあると周りのイスラムの国には入国出来なくなるから、と。
だけど、結局は大使館が空港に申請してくれて、入国は簡単な審査だけで済んでホッと一安心。
なんだ、脅かすわりにやさしいじゃないか。

そして無事入国して街に出ると慣れないヘブライ語。横書きだけど右から読むらしい。
これが右からTEL AVIV HAHAGANAと読むらしい。母音だけで子音は表記しないんだとか。
アラビア語もあるからさらに異国感が増す。
ちなみにテルアビブは新しい首都で昔はエルサレム。
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ここで、少し長くなるけど、出国前に聞いた面白い話を書いておきたい。それは「日ユ同祖論」というもの。日本とユダヤの祖先が同じという説で、まあ都市伝説的なノリもあるけど、一部では当たり前のこととされているらしい。真実は不明。

例えば、さっきの文字の書き方が昔の日本語と同じで右から書くのもそうだし、ヘブライ語と日本のカタカナは形の近いものが同じ読み方に近いというのも一つ。さらに日本の国技である相撲はもともとは古代ユダヤの中では天使と戯れるような神事的なものだったとか。そしてユダヤ人がシルクロードを渡って日本に来るまでの道のりにだけ相撲という文化が根付いているとか。モンゴル相撲とか。
そして、日本語として良く分からない「ハッケヨイ」とか「ドスコイ」とか「ワッショイ」とかもヘブライ語で似たような発音をすると同じ意味らしい。他にも民謡とかいっぱいあるらしい。

さらにユダヤのマークである六芒星と日本の皇室の菊花紋章の両方があるのは日本とイスラエルだけとのこと。伊勢神宮にも両方あるらしい。そして、平安時代から始まった京都の祇園祭の神輿にはピラミッドやラクダや宮殿がなぜか描かれているらしい。それはシルクロードの景色を描いたんじゃないかと。7月に1ヶ月間お祭りをするというのも一緒らしい。昔10万人の民を引き連れて日本にやってきて、後に平安京に貢献したとされる秦(はた)氏がユダヤ人じゃないかとかいろいろあるみたいだけど、その頃の日本の文献の「日本書記」も「古事記」も書いてある事が少し違うらしいからよく分からない。だけど秦氏の名前が入っている京都の「太秦」も日本語では絶対にウズマサなんて読めない。もしかしてヘブライ語なのか。

いろいろwebなどで調べたけど、結局はよく分からない。

そしてさらに話はちょっとそれます。

日本とイスラエルの共通点を調べるために日本の歴史も少し調べてみたけど、日本の歴史の曖昧さにも驚いた。日本で最初の天皇は紀元前660年に即位した神武天皇ということになっているけど、そもそもが神話らしい。さらに「紀元前660年」というのもグレゴリオ歴が採用された明治時代に決められたもの。実在性が濃厚な天皇は4、5世紀頃からで、それ以前はすべて神話の域にすぎないとか。小学生の時に習った縄文時代だとか後の弥生時代なんてのも東京の文京区・弥生という場所で土器が見つかったから明治に弥生時代と名付けたらしい。知っている歴史ってだいたい明治時代に作られたらしくてビックリした。ちなみにグレゴリオ歴が採用されたのは明治6年から。だから日付を合わせるために明治5年は12月22日までしかなくて翌日は明治6年1月1日らしい。これでそれまでの正月の日付すら変わった。しかもグレゴリオ歴の元年はキリストの生まれた日とされているが、後の調べによるとすでに違うらしい。。一夫一婦制を公言したのも明治の後の大正天皇かららしいから、今からたった100年程前のこと。それまではメディアの伝達もおそらく遅いだろうし、嫁が何人いたりとか、知られないからなんでもアリだったのかな。もちろん他の意味もあるんだろうけど。知っていることのほとんどがこの100年である意味"創られた"歴史なんだなと思った。

さて、イスラエルに戻ります。
「美しい。。」
というのが第一印象。戦争の気配は普通に歩いていると感じない。
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ホテルに着いて少し時間があったので、2011年に出来たばかりらしいトラムという市内電車になんとなく乗ってみた。だけど街を縦断しているだけなのですぐに終点。そこで降りてみると一つの看板があったので行ってみることに。
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ここはヤド・ヴァシェムというところでナチスによるユダヤ人大虐殺の犠牲者を追悼するための記念館らしかった。中は撮影禁止だったから写真は無いけど、とてつもなく残酷な展示の数々が事実を伝えていた。

翌日は本来の目的の音楽イベントがあったんだけど、ここでは省略して、その次の日に行ったエルサレムの旧市街を。

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いつ作られたのか分からないけど、とにかく古い街並み。ダビデ王の像やダ・ヴィンチの最後の晩餐に描かれた場所。そしてキリストが十字架に架けられた場所や墓など、現在の歴史上の重要とされている場所がすべてこの一角に集まっている。ここで写真を少し。

ダビデ王
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最後の晩餐の場所
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ダビデ王の墓
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旧市街
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嘆きの壁
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嘆きの壁の前で行われる13歳の成人の儀式
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キリストが十字架に架けられた場所
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ゴルゴタの丘
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キリストの墓
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街並み
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それぞれの宗教にとってはとても大切な場所だろうし、道ばたでお祈りを始める人もいれば、聖書をブツブツと読んでいる人もいる。もみあげが長くてクルクルなウルトラオーソドックスなユダヤ人もたくさんいる。そんな場所なんだけど、この一帯には普通に住んで生活をしている人も多い。だけど、ブロックによってユダヤやキリストやイスラムなど少しずつ分かれている。そしてこの街からほんの少し(おそらく東京から横浜くらいかな)離れた場所では戦争が起こっている。これだけ宗教が多いのがその理由の一つだろう。

イスラエルに行くこの機会に、イスラエルの事や日本の歴史などいろいろと学ぶことが多かったけど、結局は観光的なことをしただけで無宗教な自分には感覚的に分からない事が多すぎた。だけど自分なりに納得出来る一つの結論としては、"神が人間を創った"んじゃなくて、"人間が神を創った"んだということ。そしてそれを神話やおとぎ話としてそれぞれが信じたり楽しんでいるんだということ。もちろん全然悪い事じゃない。歴史学上では、イスラエルの旧約聖書や日本の神の天照大神の時代のずっと何万年も前から地球には人類の足跡があって、旧石器時代と呼ばれる狩りの生活があった、らしい。それもある意味憶測なのかもしれないけど。人が集団生活をする中で、宗教としてルールを作ったり、不安や精神統一するときに信じるためのもの。

とにかく一番ためになったのは、意外と簡単に歴史は変えられるし、同時に信じる人が多いものは簡単には変えられないということ。人が人のために"真実"を創っている。そしてそれを彩る神話やおとぎ話がある。ずっと昔から。


まだイスラエルの旅は後半のテルアビブが残っているけどそれはまたの機会に。
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