■ 最近の活動状況を教えてください。
Elzhi：今は新しいアルバムとMIX CDの制作をしている。T3は個人でAbという新しいアーティストと一緒に音楽活動をしているよ。
■ 楽曲作りはいつもどのように行っているのですか？
T3：大概はレコードを聴くことからまずは始めてる。リリックを書く工程はその時々によって違う。トラックを聴いてから書き始めることもあるし、時には既にコンセプトが頭の中にあって、それをもとにリリックを書いて最後にトラックを合わせていく時もある。
■ 地元デトロイトの音楽シーンはどうですか？
Elzhi：デトロイトの音楽シーンはかなり活気があると思う。俺らの仲間から沢山のアーティストが育っていってるよ。アメリカや海外でもそいつらはみんな自分の音楽を確立していってるさ。Guilty Simpson、Black Milk、Phat Katなんかもその内のメンバーだし他にも沢山いるよ。
Elzhi
■ デトロイトはどんな街ですか？お気に入りの場所があれば教えてください。
Elzhi：デトロイトの街は、汚れてるね(笑)。この街は歴史が深い街だと思う。特に音楽のこととなれば一層ヒストリーがある街さ。
T3：デトロイトで俺の気に入ってるスポットは“Oslo”と“Northern Lights”。両方ともデトロイトの有名なクラブだよ。
■ 音楽以外で興味がある、ハマっている事があれば教えてください。
Elzhi：俺は、日本のアニメとテレビゲームにハマってるよ。
T3：俺が今気に入ってる日本のアニメは“Death Note”。それと“NARUTO-ナルト-疾風伝” 。あとは、“Devil May Cry 4”っていうテレビゲームにも今ハマってる。
T3
ここで、Slum Villageのオリジナルメンバーである、
Jay Deeについての質問をさせてください。
■ Jay Deeが亡くなった事で何を思いましたか？また何が変わりましたか？
Elzhi：衝撃的だった。ただただ、衝撃を受けたよ。
T3：あの一件でもっとがんばって音楽をやっていこうって思ったよ。Dillaはあれだけの才能があったのに、もっともっとリスペクトされるべきだったと思ってる。Slum Village自体もそこまでのリスペクトを得ていなかった。だからあいつが逝ってからあいつが残していった才能のためにも、もっとがんばって成功していかなきゃいけないと思うようになったよ。
■ Jay Deeはどんな人だったのでしょう？彼との思い出を聞かせてもらえますか？
Elzhi：超絶的な頭脳で物凄い発明をするマッドサイエンティスト。そして俺の大事な友人であり、誰もが認める音楽の天才児。
T3：俺らが初めてやった大きなライブでの出来事なんだけど、Dillaがギリギリまでライブで使うCDを作るのにかかったんだ。俺らは全員Dillaの自宅で待ってたんだけど、ついにライブの時間になって俺が一人で会場に向かうことになったんだ。それで最初の45分を一人でやらなければならない状況になって。それからやっとBaatinがCDを持って登場したんだけど、Dillaの姿は無かったよ(笑)。でも出来上がった音に関しては言うまでもなくヤバイものだったね。今までにない最高の音源でライブは上出来だったさ。それどころかやつは今までに俺も聴いたことがなかった新しいトラックを作っていたんだよ。そのライブのためだけにね。あれがDillaのマッドサイエンティスト的要素だと思うよ。やつの手にかかると何が出来るのかは全く想像つかないけど、一度出来上がればそれは間違いないものになってるんだ。待っただけの甲斐はあったよ。
■ 今後の予定と目標を。
T3：“J Dilla Tribute”のアルバム制作を始める予定。Slum movieもまだ制作しているところだよ。Elzhiはソロ活動をしていて、俺はAbのプロデュースをしたり、音楽活動を一緒にしていく予定だよ。
■ 最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
Slum Villageが日本に行くぜ！ ライブで会おう。みんなの愛を見せてくれ。デトロイトファイネストと盛り上がろうぜ！
＜プロフィール＞
Slum Village（スラム・ヴィレッジ）
A Tribe Called Quest、De La Soul、Commonなどのプロダクションでも知られ、ヒップホップの歴史を変えた天才プロデューサー、Jay Deeが地元デトロイトでT3、Baatinと結成した3人組ヒップホップ・グループ、Slum Village (スラム・ヴィレッジ)。現在はT3とElzhiの2MC。Jay DeeがQ-Tipを介してThe Pharcydeの“Runnin'”を手掛けたことでその名をシーンに一気に知らしめ、一大センセーションを巻き起こした。そして、傑作“I Don't Know”などのシングル・ヒットに続けてリリースされた1stアルバム“Fantastic vol.2” ('00)は、Q-Tip、D'angelo、Questlove、Pete Rockら豪華ゲストが参加して大きな話題を呼んだ！(事実上の1stは“Fan-Tas-Tic vol.1” ['96]で、過去にリリースされている未発表音源もすこぶる人気が高く、マニアの間では高額で取引されている)
2002年、Jay Deeはプロダクションを担う一人という立ち位置になり、ElzhiがMCとして新加入。同郷のシンガー、Dweleも参加した“Tainted”がビッグヒットを記録。また、Timbalandがリミックス・プロダクションを手掛けた“Disco”もクラブヒットし、2ndアルバム“Trinity: Past Present & Future” ('02)は、全米アルバム・チャートTOP 30にもランクイン！シーンにグループの“いい意味での変化”を受け入れさせた。
その後、病気を患った為にBaatinが脱退。現在のデュオ構成になるが、時のプロデューサーKanye Westとの先行シングル“Selfish”がまたもや大ヒット。3rdアルバム“Detroit Deli: A Taste of Detroit” ('04)では、同郷のBR Gunnaのサウンドもタイトにキマっていて、Ol' Dirty BustardやDwele、やはり同郷のMC Breed、Phat Katらの客演もあり、非常に高い評価を受けた。4thアルバム“Slum Village” ('05)もリリースし、グループとして充実した時期を迎えている中、2006年、Jay Deeは患っていた病気が悪化し急逝している (享年32歳)。世界中のファンがその早すぎる死を悼んだ。
www.myspace.com/slumvillage
Interview > Hidenori Matsuoka
Transration > Shinobu Sakamaki
Photo > Yasunori Hasegawa
Special Thanks > HITOMI Productions
HIDDEN CHAMPION ISSUE#10 February, 2008
