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DESHI Interview

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「人間って自分が想像出来る範囲以上の事は出来ないと思うんですよ。」


■    まずはプロフィールを教えて下さい。

大本 芳大、24歳です。スケーターの間ではDESHIってあだ名で呼ばれてます。スケート歴は、中1ぐらいからやってるので11、2年ぐらいです。


■ 今の生活のサイクルは?

土日はいつもの仲間と気になるスポットに行ったり、写真を撮ったり。平日も夜に撮影に行ったり。大体週に4日くらいは滑ってます。


■    スケートしてない時は何してるの?


ライフスタイルを3つあげろって言われたら、スケートボードと読書とアイスクリームですね(笑)。甘い物が大好きなんで。


■    スケートボードを始めたきっかけは?

僕は鍵っ子で、小学生の頃ゲーセンによく行ってたんですよ。そこで中学生くらいのヤンキーがスケボーやってて。それを見た時に、僕も中学生になったら当たり前にやるんだろうなって思ってましたね。その時の事は今でも鮮明に憶えてますよ。それで中1でスケートボードを持ってる先輩に「貸して下さいよ」って借りて始めました。それはもちろん今も返してないですけど(笑)。
 

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■    どんな中学生だったんですか?

最初は周りに10人近くスケボーを始めた友達がいたんですけど、みんなすぐ辞めちゃったんですよ。みんな部活とか始めて。でも僕は学校終わると1人でスケボーやってて、その頃は秋葉原で練習する様になって、学校以外の友達が増えていきましたね。だから学校ではちょっと浮いてたかもしれない。


■    影響を受けたものは?

最初はスケートビデオですね。見よう見まねで。最初の1、2年はオーリーぐらいしか出来なかったですけど。


■    スケートの写真を撮り出したのはいつ頃からですか?

高2の時ですね。友達がビデオを撮り出したリ、カメラマンが撮影に呼んでくれたりして。当時はちょっとウマくなってきたところで、自分からも撮って下さいって言ってましたけど(笑)。今では写真を撮ってないと不安ですね。1週間撮ってないと「今週何もしてないなー」って思います。


■    撮影する時のこだわりはありますか?

自分がデカイ手すりや階段をガンガン飛んだりする派手なスケーターじゃないって事は分かってるから、その中でどうやったら目立つかっていう事を自然と考えてるかも知れませんね。でも、意識して他の人と違う事をやろうとかは考えてないです。ただ普通にやりたい事をやると、周りから「また変わった事やってるね」って言われるんです。僕は滑りたい所で滑ってるだけなんですけどね(笑)。街を見て「あっここでヤリたい」って思って滑るだけだし。


■    でも周りの人達はDESHIがメディアに出る度に「おっスゲェ!」って思ってますからね。


そう言って貰えると嬉しいですね。


■    ところで最近フィラデルフィアに行ってたみたいだけど。


僕が一番影響を受けたスケートシーンがフィラデルフィアなんですよ。フィラデルフィアの“イースタン・エクスポージャー3”っていうビデオがあるんですけど、そのビデオを高校生の頃に買って、今まで何度も繰り返し見てきたんで。特にビデオの中に出てくるリッキー・オヨラって人にスゴく影響を受けましたね。そのリッキーが”TRAFFIC”っていうスケート・デッキのブランドをはじめて、色んな人の協力や偶然の出会いもあって、そのTRAFFICのライダーになる事が出来て。雲の上の人からスケート・デッキを直接貰う事が出来るなんて考えただけでもスゴイ事で、だったらもう実際に会って彼らのスケートスタイルを一緒に味わってみたいっていうのがフィラデルフィアに行った理由です。


■    実際どうでしたか?アクシデントもあったみたいですけど。

リッチー・アドラーっていう友達が空港に迎えにきてくれるはずが、来なかったんですよ(笑)。だからどうしようもなくて、唯一電話番号を知ってたリッキー・オヨラにメチャクチャ緊張しながら直接電話したんです。緊張してイエスとノーしか言えなくて(笑)。なんか2アワーズって言ってるのが聞こえたから2時間待ってたら本当に本人が迎えに来たんですよ。ニューヨークの空港からフィラデルフィアまでの2、3時間の車の中で英語もロクに喋れないのに憧れの人と2人きりですよ。でもリッキーはスゴく気を使ってくれて、僕を迎え入れてくれましたね。ビデオで見る彼の滑りはハードコアな感じなんで怖い人かなと思ってたんですけど(笑)。


■    アメリカと日本のシーンの違いは感じましたか?

あまり言いたくないですけど、雲泥の差がある気がしました。人口も違うし。日本の感覚からすると、アメリカって良くも悪くも狂った人が多い気がしますね。日本人は海外の事を意識してるし、真似してることが多いと思うんですよ。アメリカはそういうのが少ない。オリジナリティーを出さなきゃ目立てないし、良い意味で狂ってないと駄目なんですよね。あとは、世界でどうこうしたいのであれば、世界に向かっていかないと駄目だと思いました。今の僕は、海外の雑誌の表紙になる事が1つの目標なんですよ。ということは海外に出なきゃ駄目なわけで。日本にいて、どうこう言ってるうちは無理だと思うし。


■ 日本にいたら目標もかなわない?

人間って自分が想像出来る範囲以上の事は出来ないと思うんですよ。例えば日本一になった人は、日本一になりたいと思った人がなるんじゃなくて、世界一になりたいと思った人が日本一になるんだと思うんですね。もっと上に目標があって、現実はその過程にあるだけで。


■    常に一歩先に夢があるって事?


そうですね。これは本で読んで良いなと思った事なんですけど、人間って服のボタンをテーブルに縦に立てろって言われても、立てられないんですよ。でもボタンを立てて、その次に穴に糸を通してくれって言われると、糸は通せなくてもボタンを立てられる人が何人か出てくるみたいなんです。そういう潜在能力とか脳の使われてない部分とかにすごく興味があるんで。


■    そういう事を意識してるから、いまがあるのかも知れないですね。

高校生の時もビデオや雑誌とかに出たいって思ってたんです。それぐらいならすぐに実現したりするじゃないですか。でも雑誌に出た時に「夢が叶った」とは思ってないんですよね。その時には「次はビデオのパートに出たい」って既に思ってる。1、2年前から海外の雑誌とかに出る様にもなったんですけど、それでも感動はないんですよね。目標はもう次にいってますから。だから一生イタチごっこなんじゃないかなって思ってます。ゴールは一生無さそうですね。

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■    スケートの魅力って何?


スケボーじゃなくても良いのかもしれないけど、自分が熱くなれる事がある事が幸せだなって思いますね。それが僕はたまたまスケートボードだったってだけで。だから今より夢中になれる事があればスケボーは辞めるんじゃないですかね(笑)。スケボーの魅力は、技をキメた時の気持ち良さですね。メイクした瞬間の事が2、3日は頭に残りますから。寝る前とかも興奮して頭の中をグルグル回って寝れなかったりするし。もしかしたら、あの達成感は、その辺のカワイイ女の子をゲットするよりも気持良いかも知れませんね。した事ないから分かりませんけど(笑)。


■    では最後に若い人にメッセージとかあれば。

影響を与えたいとかはないんですよね。影響を受けてくれれば嬉しいですけど。好きにやれって思います。僕も好きにやってるんで。

 



Text > Hidenori Matsuoka
Photo > ISEKI
Special Thanks > Yoshio Habuto &Bigwing
HIDDEN CHAMPION ISSUE#09 August, 2007

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