A Tribute to J DILLA

- Who’s J DILLA a.k.a. JAY DEE -

2006年2月10日、Hip Hop史上最も偉大なアーティストのひとり、J Dillaが惜しくもこの世を去った。享年わずか32歳だった。

音楽家の両親のもとにデトロイトで生まれ、クラシック、ジャズ、ソウル、ファンクなどの音楽に触れながら、ピアノ、ヴァイオリン、フルート、チェロ、ドラムなど様々な楽器を演奏するという恵まれた音楽環境の中で育っていった。

高校に入ると、友人のT3、バーティンと共に“スラム・ヴィレッジ”を結成し、音楽活動をスタートさせた。

活動を続ける中で、J Dillaはアンプ・フィドラーと運命的に出会いサンプラーの操作方法やプロデュースについて教わる事となった。その後J Dillaが作成したデモ・テープが、アンプ・フィドラーを介してツアーでデトロイトを訪れた、ア・トライブ・コールド・クエストのQ・ティップの手に渡る事になった。彼のそのプロデュース能力はQ・ティップに高く評価され、瞬く間に様々なアーティストのプロデュースを任されるまでになった。その中には、ファーサイドの「RUNNIN’」やデ・ラ・ソウルの「SKATES IS HIGH」などのクラシックと呼ばれる作品が名を連ね、一大センセーションを巻き起こしていった。

その後J DillaはQ・ティップ、アリ・シャヒードと共に＜ジ・ウマー＞というプロデュース・チームを結成し、ア・トライブ・コールド・クエスト、バスタ・ライムス、ザ・ルーツなどの作品を手掛け傑作を残した。また2000年頃からは、ザ・ルーツのクエストラヴ、ジェイムス・ポイザーらとプロダクション・チーム＜ソウルクエリアンズ＞を結成し、コモン、エリカ・バドゥ、ディアンジェロなどのアルバムの制作に携わりプロデューサーとしての確かな手腕を発揮していった。

それほど多くのプロデュース・ワークを手掛けながらも、同時にスラム・ヴィレッジとしては伝説的な1stアルバム「Fan-Tas-Tic Vol.1」を1996年に自主制作でリリースし、2000年には実質的なデビュー・アルバムとなる「Fan-Tas-Tic Vol.2」をリリースした。また同年には、スラム・ヴィレッジの別名儀“J-88”として、アルバム「BEST KEPT SECRET」をリリースするなどHIP HOPシーンに確固たる地位を築いていった。

しかし2001年になると、ソロ・アーティストとしての道を選び、ソロ初となるシングル“FUCK THE POLICE”をリリースし、続くアルバム「WELCOME 2 DETROIT」をリリースした。さらに2003年には10曲入りの「RUFF DRAFT」のリリース、また西海岸のレーベルSTONES THROWの看板アーティスト、マドリブとのユニット＜ジェイリブ＞として「CHAMPION SOUND」をリリースするなど精力的な活動を行っていた。

しかし、この頃からJ Dillaの体には異変が起こりだしていた。自己免疫疾患の一種である狼瘡（ろうそう）という難病だった。J Dillaは入退院を繰り返す生活を余儀なくされた。しかしそれでもJ Dillaは音楽活動を続け、車椅子に乗ってライヴを行い、病室に機材を持ち込んで作品作りを行った。しかし病は残酷にも進行し、2006年2月7日、自身の誕生日にリリースしたインストアルバム「DONUTS」を見届けるかの様に、3日後の2月10日にJ Dillaは息を引き取った。

J Dillaの死後、彼が生前進めていたプロジェクトは友人達に託され「THE SHINING」（2006年8月）、「JAY LOVE JAPAN」（2007年6月）がリリースされた。

J Dillaがその生涯を捧げて手掛けた作品達は、時代を超えて世界中の音楽ファンの中に生き続けるだろう。

- A Tribute to J DILLA T-Shirts -

今回bathroomでは、J Dillaの生前にかかった多額の医療費を負担している彼の母をサポートするため、“A Tribute to J Dilla T-shirts”を作成し、bathroomツアー各会場にて限定販売した。最低限の経費を除いた売上金の全てを彼の母に寄付します。