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DJ Olski from Melting Pot Music Interview

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世界中から個性的なアーティストを発掘する審美眼の持ち主DJ Olskiに、レーベルMelting Pot Musicの事を聞いた。


■ まず、あなたの自己紹介とプロフィールを教えて下さい。

僕はエッセンという小さな町で産まれたんだ。20世紀に炭鉱業で栄えたルーゲバイトの中にある町でね。80年代の始め頃から段々音楽にのめり込むようになっていった。当時はニューウェーブや80年代のポップスやヒップホップをよく聞いていたな。The Clash、Style Council、Special Aka to ESG、IndeepやGrandmaster Flashなんかをね。音楽以外に本当にやることがなかったんだ。僕の兄貴達が聞いていたようなGenesis、Greatful Deadみたいなつまらない音楽じゃなくて、もっと新しい音楽に僕たちは飢えていたんだよ。
2、3年後にソウルやファンクを聞き始めて、ケルンまで足を伸ばすようになった。ケルンではソウルのオールナイトパーティーが行われていた。そのパーティーでニューオリンズファンクやフィリー・ソウルなんかを知った。でも僕の音楽観に最も影響を与えたのはヒップホップだったな。RUN DMC、BDP、Just - Iceに夢中になって、他の音楽には目もくれなかったよ。
音楽を聞いて、レコードを掘って、ライブやパーティーに行く事しか頭になかったからファン雑誌を創刊したり、クラブやパーティでDJを始めたんだ。90年代の始めにケルンに引っ越した。当時、ケルンはドイツ国内でも有数の音楽の町だったからね。その頃もDJを続けていて、パーティーを開いたりTVとか雑誌のライターをやってたな。


■ 今現在の音楽の活動内容は?


まだDJは続けているよ。今はレーベルの仕事が忙しいから月に1、2回位だけどね。


■ Melting Pot Musicを始めたのは?またそれ迄の経緯は?

Groove AttackというレーベルでA&Rとして働いていたんだ。当時はスーパーラッピンシリーズを担当していた。そしてそれが僕にとって音楽業界で最初の経験だったんだ。とても多くの事を学んだよ。けど僕はあまりチームで仕事をするのが得意じゃなかったし妥協せずに本当に良い音楽をリリースしたかった。そこで2002年の終わりからMPMを始めたんだ。


■ レーベルのコンセプトとかあれば聞かせて下さい。


コンセプトは至ってシンプル。本当に良い音楽をリリースしていく。これだけだよ。
僕が音楽を見たり聞いて、判断を下す時はやっぱりヒップホップが根底にある。これは別にMPMの作品がLil WayneやTIのような音楽って事じゃなくてね。ヒップホップは色んな意味でMPMサウンドの土台になっているのは間違いない。僕はまだKool HercやBambaataaが成し遂げた偉業に敬意を払っているよ。僕はルーツを感じさせてくれる音楽が好きなんだ。
レーベルを運営していく上で自分たちのイメージとか、アートワーク、ウェブサイトには細心の注意を払っている。全てに一貫性が無いといけない。そうやって自分のレーベルを捉えているし、何よりも僕自身がレーベルのファンだからね。僕はMPMをブランドとしては捉えていないけど、多くの人がMPMのリリースだからという理由だけで僕たちのレコードをチェックしてくれるのはとても嬉しい。実はこうやって多くの人たちの期待を裏切らないようにするのは、とても大変な事なんだよ。
結局の所、レーベルを作り上げていくのはアーティスト達なんだ。音楽が良くなければどんなに素晴らしいTシャツも立派なウェブサイトも何の意味もない。僕はこれまでに幸運な事に、世界の色々な国々で素晴らしいアーティスト達に巡り会う事ができた。最初に契約をしたのはオランダのアムステルダム出身のファンクマスター・Lefties Soul Connection。Leftiesは今年、2枚目のアルバムをリリースしたんだ。南カリフォルニア出身のDJ Dayはヒップホップのエッセンスを取り入れた独自のソウルミュージックを聴かせてくれる。DJ Dayも2008年の年明けに「A New Beginning」というタイトルの2枚目のアルバムをリリースするよ。そして僕たちの2007年の最大の新人はテル・アヴィヴ出身のKutimanだ。音楽的才能に恵まれていて、彼ら独自のサイケデリックなアフロ・スペース・ファンクを聴かせてくれる。とてもヘヴィーだけど、美しい音楽だ。アルバムでは彼の友人達である多くのシンガーとミュージシャンが参加しているよ。
ベルリン出身のMarc HypeとJim Dunloopもアルバムの準備をしている。2台のターンテーブルとファンキーなピアノのとても変わったコンビなんだけど、彼らのライブを見た人たちはアルバムのリリースをとても楽しみにしているよ。

 

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Lefties Soul Connection

 

DJ_Day.jpg DJ Day



■ 世界中のアーティストを扱っていますが、アーティストをセレクトする基準はありますか?


まず僕自身がそのアーティストを好きにならないとだめだね。アーティストの音楽性がMPMサウンドにマッチする事も大事かな。同時に僕とそのアーティストが同じビジョンを共有出来なければいけない。どうやってそのアーティストの音楽を広めていくかといったビジョンだね。アーティストとお互いに良い関係を築いていくというのは絶対に大事。世界中の色々な国からのアーティストと一緒に仕事が出来るのはとても新鮮だし、楽しいね。


■ 今注目しているアーティストや、おすすめの音楽があれば教えて下さい。

KRS Oneが言っていたんだけど「すごい奴らは沢山いるけど、時間がない。」ってね。これは音楽にもよく当てはまる。聞いて学ぶには素晴らしい音楽があまりにも多くありすぎるんだ。これまでに聞いた中ではCommonの最新アルバムが、今年の僕のベスト盤になりそうだ。新しいPharoah Monchも聞いたけど、素晴らしかった。Phat Kat recordも大好きだよ。新譜に関して言えば、僕が聞くものはほとんどヒップホップだね。


■ carharttとの交流はどのように生まれたのですか?またどのような関係ですか?


carharttとはもう10年以上一緒に仕事をしている。僕がまだGroove Attackにいた時までさかのぼるんだけど、Oliver Drewesと一緒にクリスマスCDを一緒にコンパイルしたのが一緒に仕事を始めたきっかけだった。carharttはただ良質な洋服を創るだけじゃなくて、音楽の事もちゃんと分かっている。carharttはお互いの信頼を築く上で何をすべきで何をすべきでないかをちゃんと分かっているんだ。carharttは他の奴らが聞いてくるようなくだらない質問は絶対僕に聞いてこないしね。carharttが長い間、とても良いブランドイメージを築いて保っているのはそれが理由だと思う。今はcarharttとMPMの限定Tシャツを一緒に手がけているよ。


■ 最近は何に興味がありますか?(音楽以外でも)

美味い食事に、暖かい砂浜、それに大切な家族かな。


■ 日本の印象は?日本の音楽シーンについては?

MPMは日本がとても好きだ。だけど僕には分からない事も多い。
日本にはまだ行った事がないから僕の印象はすべて周りの人から聞いた印象しかない。日本には沢山のMPMのファンがいる事は勿論、知っているよ。メールや僕たちが受けたインタビューから、日本のファンは僕たちのやっている事をちゃんと分かっている。それはとても嬉しいことだ。日本では僕たちのアルバムはインパートメントからリリースしている。彼らと一緒に仕事が出来るのはとても嬉しいよ。一所懸命に仕事をしてくれるし、信頼出来る。敬意を払っているよ。ヨーロッパの音楽ビジネスでは彼らのように信頼出来る人たちはとても少ないからね。
だけど、ヨーロッパにいると日本の音楽シーンの情報はあまり入ってこないんだ。未だに昔のDJ MUROのテープやオーサカ・モノレールを聞くけど、実際は日本で何が起きているかは分からないな。Hand CutsからリリースれているDJ Bulljinの「Funk Remind」というミックスCDはとても良かった。MPMの音源も沢山ミックスされていたしね。日本のアーティストとはもっと仕事をしてみたいと思っている。だから僕たちにデモを送ってね!
 

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Kutiman


■ 最後に今後の展望や予定を聞かせて下さい。

良い音楽をリリースし続ける事。出来るだけ沢山の人にその音楽を聴いてもらう事。これにつきるよ。レコードショップでMPMのレコードを掘ってくれるのはとてもありがたい。でも残念だけど後2〜3年でレコードショップの数はどんどん少なくなってしまうだろう。ただレコードを売っているだけではレーベルとしては生き残っていけない。これからはデジタル配信から広告、映画まであらゆる流通網を使って自分たちの音楽を世に広めて売っていかなくてはいけないんだ。僕たちは今、まさにそうしようとしている。僕たちは自分達のリリースを「商品」というよりむしろ「芸術作品」だと捉えている。だから僕たちは今まで通り、アナログのレコードをリリースしているんだよ。
音楽に関して、僕たちはとても才能のある新しいアーティスト達と一緒に仕事をしている。僕たちはシンガー、MC、ビートメーカーそしてカンザス出身のMiles Bonnyというトランペットプレイヤー達と今、仕事をしているよ。Milesは今年の夏にCloser Loveという初めてのEPをリリースするよ。DJ Dayのアルバムにも参加している。Trishesというビエナ出身の新しいプロデューサー達との仕事も現在進行中。今までに聴いた事もないようなビートとラップを聴かせてくれる連中なんだ。今年の秋に初めての12インチをリリースする予定だよ。80年代の後半に活躍していたジャーマンヒップホップのパイオニアであるLSDの再発も予定している。2007年、僕たちは決めるぜ。だけど今はKutimanのセルフタイトルのアルバムを待つ事にしよう。未来のクラシックになる事間違いなしだ。みんな期待してくれよ。
 

 

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www.mpmsite.com

 

 



Interview > Hidenori Matsuoka
Translation > Sho Kamura
HIDDEN CHAMPION ISSUE#09 August, 2007

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