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DRAGON Interview

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国も人種も関係ない、人間の哀愁とも呼べる独特の作風で
世界中に多くのファンを持つアーティスト“DRAGON”。
本来の画家とは、彼の様に意識する前に手が動いている
人なのかもしれない。そんな彼の内面に迫る。



■ 前回のSteph Pocketsの際のライブペインティングはどうでしたか?

DRAGON:結構地方やいろんな場所に行ってライブペイントする事もあるんですけど、その土地や場所に対する思い入れとかは余り無くて、その日のコンディションが一番影響しますね。その日のその会場の雰囲気とかが。


■ Stephが福岡でのライブペイントが印象に残ってると言っていましたが、、、。

DRAGON:ライブペイントといっても普段はマイペースにゆっくり描いている事が多いんですけど、福岡ではStephと同じステージでライブやってる後ろでライブペイントしたんですよ。だからStephのライブと一緒に進んでる感じもあったし、周りからも乗せられてる様な独特のテンションでしたね。


■ Steph Pocketsのジャケットを手掛けたきっかけは?

DRAGON:レーベルの担当者経由でStephが作品を見て気に入ってくれたのがきっかけですね。本人とはジャケットを描いた後に初めて会ったんですよ。でも昨年も僕がニューヨークでライブペイントに呼ばれた時はStephがフィラデルフィアから来てくれたりして良い関係ですね。

 

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Live Painting。2007年11月24日Steph Pockets@東京UNITにて。
 

■ 絵を描き始めたのはいつからですか?

DRAGON:たぶん本当に小さい頃、初めて鉛筆と紙に触れた時からずっと描いてますね。今も本当にその延長です。もちろん描くモチーフや手法は変わっていますけど。


■ 今のスタイルになったきっかけは?

DRAGON:どこかでパンッて変わった感じではなくて、その時々で好きな音楽や映画に影響されたり、興味もちょっとずつ変わってきて、色んな事を通過した“今はこういうスタイル” という感じなんですよ。だから完成されたスタイルという訳では無くて、まだこの先も変わって行くと思います。


■ どういうカルチャーやアーティストに影響されましたか?


DRAGON:中学生位の頃にスケートボードに興味をもったり、ロックやハードコアとか洋楽を聞く様になって、その後はヒップホップですね。ヒップホップが好きになってからはヒップホップが使われている映画に興味を持ったり、公民権運動とかいろんな黒人文化のカルチャー的な背景が知りたくなって、掘り下げて行くうちにルーツというかレゲエや色々なブラックミュージック等に影響されました。


■ 大阪のバンド“オーサカモノレール”とも交流ありますよね?

DRAGON:そうですね。オーサカモノレールの1stのジャケットを描いたんですけど、その前から大阪で一緒に“SHOUT”っていうイベントをやっていて、そのイベントのフライヤーを作ったりしていました。その後、「Super Fly」っていう70年代のブラックムービーをSHOUTでリバイバル公開しようって事になって、そのフライヤーやポスターも新しく作り直しました。そのサウンドトラックを作っているカーティス・メイフィールドのMIX CDのジャケットも描かせてもらったりして、その頃が一番ブラックカルチャーに強く影響されましたね。
 

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「FREEDOM OF SOUND」(Magazine Cover/2005)

 

■ どういう時に絵を描きたくなりますか?

DRAGON:何かからインスピレーションを受けて描くという感じではなくて、家の中でもどこでも紙とペンが置いてあって、TV見たり、話したり、電話したりしながら常にずっと描いてますね。まあ、くだらない絵も多いですけどね(笑)。


■ 絵以外はどういった事に興味が有りますか?

DRAGON:酒が大好きですね。特にビールが(笑)。でも興味というとやっぱり絵になりますね。CDのジャケットや仕事で頼まれた絵を描く事が重なると、それを早く描き終えて自分の絵を描きたくなるんですよ。でも自分の絵ばっかり描いているとジャケットとかも描きたくなるし。だから結局ずっと描いてますね(笑)。


■ 人生において重要だと思う事はありますか?

DRAGON:僕はたまたま絵を描いて、絵を通して自分の個性を追求したりできる立場だから恵まれてると思うんですけど、やっぱり自分独自のオリジナルというかアイデンティティを模索する事が重要だと思っています。アイデンティティは生まれつきの物ではなく、自分で選ぶものだと思うんですよ。例えば日本に生まれた日本人としてのアイデンティティもあるし、それ以上に一人の人間本来としてのアイデンティティもあるし、それを掘り下げて追求する事が大切だと思いますね。


■ 絵を描く度に、そこ迄自分を掘り下げると大変じゃないですか。

DRAGON:1枚の絵ですべてを表現しようとするとそれは大変な事かもしれないですけど、描き続けるという行為を含めて、最終的に行き着く所までのすべての過程が大切というか、毎日絵を描く事で自分が一人の人間としての何かが見つけられたらいいなと思います。
 

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「Living with mother nature」(Original/2006)

 

■ 絵を描きつづける原動力は何だと思いますか?

DRAGON:どんどん自分の中に溜まっていく物を吐き出す感じですね。描きたいという欲求を。今迄に絵を描いていないって事が殆ど無かったから、自分が描いてないって事を想像出来ないですね。ただ毎日描きたいから描いてるだけなんで、、、。


■ 自分の絵を見た人にどう思って欲しいみたいな事はありますか?

DRAGON:多少はありますね。この感覚を分かって欲しいなって。この感じ分かるかなぁみたいな。この辺のこの色のこの感じみたいな。抽象的ですけど(笑)。哀愁みたいな感じですかね。友達で凄く理解してくれる人がいて、「この絵のこの辺フワーって感じにならへん?」って聞いたら「フワーってなるよなぁ」って(笑)。ただ、言葉を使ってここはこういう感情を表現しましたみたいな説明は出来ないですね。自分も音楽とかでも言葉で説明出来ない部分みたいなところが一番好きだったりするんで。でも、海外だと意味をすごく重要視するというか、答え合わせの様に聞いてくるんですよ。「ここはこういう感情を表現しましたか?」とか。ライブペイントでただ描いてるだけなのに。でも、言われて「あ、そう!それ!」って思う事も多くて、ちゃんと見てくれてるなって感じました。


■ 例えばどう言われました?

DRAGON:人間本来というか、広い意味で人間のルーツ的な物を描いてるって解釈してくれたり。でもそういう意味は後付けで良いと思ってます。僕は絵を描く時に頭で考えずに描こうって思ってて。頭で考えて描くとガチガチな面白くない絵になると思うので。


■ 絵を描きだした時に完成のイメージは頭の中にあるんですか?

DRAGON:全然ないですね。疲れたら終わり(笑)。やりすぎると取り返しがつかなくなるし、ヤメ時が肝心ですね。一番良い時にヤメる。ずっと描いてるとそのタイミングというか感覚は分かってきましたね。


■ 今後の予定や、やってみたい事はありますか?

D:予定としては、ここ2、3年位あまり自分の作品を描けてないので、一回それを吐き出して今年は個展をやりたいですね。あとは、ずっと絵を描いていれたら幸せですね。

 

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「LIBERATION OF SOUL」(Original/2006)



<プロフィール>
DRAGON(ドラゴン)
ライブペインティングやウォールペイント、クラブイベントのフライヤーを中心に活動を始める。2000年にファンクバンド、オーサカ=モノレールのCD/レコードジャケット、映画「Super Fly」のポスターを手掛けたのをきっかけに以降、STEPH POCKETS、AI、DJ YUTAKA、BAGDADCAFE the TRENCHTOWN、韻シスト、BLUE NOTEコンピレーション他数々のアーティストのCDジャケット、フライヤー、ポスター等を手掛ける。また、TOWER RECORDSのFREE PAPER「BOUNCE」の表紙、J-WAVEパーソナリティRYU氏の自伝本「RYU フリースタイルな人生」表紙、雑誌『NUMBER』でマラドーナ等サッカー選手の 絵を描くなど雑誌、出版業界でも活躍。
2005年にはTVにも進出、公共広告機構の「アイドリングストップ」CMで自らの絵をアニメーション化し話題に。そしてTOWER RECORDS「No Music No Life」ポスターには本人もモデルとして登場、さらにSteph PocketsのPVではDRAGONがSTEPHを描く過程が全編映像となる。さらに活躍場所は日本国内に留まらず、2005年イギリス リバプール、バーミンガムで行われたファッションブランド55DSLとROOTS REGGAEの名門レーベール<TROJAN RECORDS>のイベント[55ROOTS]に招かれライブペインティングを行う。2007年にはNYで行われたレゲエレーベル「VPレコーズ」のイベントでもペインティングを披露、日本人クリエイターとして世界中で最も絶賛、注目されるペインターである。

www13.plala.or.jp/dragon-76





Text > Hidenori Matsuoka
Photo > Yasunori Hasegawa (Live Painting)
HIDDEN CHAMPION ISSUE#10 February, 2008

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