“諦めない美学”を歌い続ける

現在進行形のフィリー・ソウルシンガー“ステフ・ポケッツ”。

愛情のこもった歌声で色彩豊かな音楽を表現する彼女の素顔に触れた。


■ 13ヶ所にも及ぶ今回の日本でのツアーはいかがでしたか？

“bathroom”ツアーはとっても楽しかったわ。すごくいい経験になった。日本中のいろんな場所に行けて素敵な人達に沢山会えたし、あと行く先々で美味しいものを食べたりね。どの土地のライブも全部いい思い出ばかりよ。


■ 楽しかったエピソードを教えて？

福岡での事なんだけど、DRAGONと私が一緒のステージでライブをやったの。彼がペインティングをして私がラップをするってゆう素晴らしいショーだったわ。ファンのみんなもすごく盛り上がってくれてずっと一緒に歌ってくれていたの。みんな笑顔で最高の時間だったわ。でもその日は、いたずらでこんな演出をしたの。みんなのお気に入りの“Can't give up”をやらないままラストの1曲を歌い終えて「ありがとう!　みんなまたね!」って言ってステージを私が降りようとすると、DRAGONが「ステフ!　“Can't give up”を忘れてるよ!　俺の大好きな曲なのに!」って私を引き止めるの。それで私がまたステージに戻って「じゃあ、みんな。もう1曲歌うわ。」って言って最後に“Can't give up”を歌ったの。もう会場は最高に大盛り上り。みんなすっごく喜んでくれたわ。ライブが終わった後は私もダンスフロアーで朝までみんなと盛り上がっちゃった。

■ 逆に辛かった事や嫌だった事は？

ツアーで一番辛かったことといえば、旅には終わりがあるように、ツアーにも終わりがあるということ。飛行機に乗ってフィリーに帰らなくちゃいけないのは辛かったわ。どのライブも全部素敵な思い出ばかりで、今でも一人で思い返してるの（笑）。だから今は何か嫌なことがあったらツアーの時のことを思い出すの。そうするとすぐに笑顔になれるわ。


■ ライブで心掛けている事はありますか？

ステージに立つ時はまずオーディエンスの皆が楽しんでくれるようにって心がけてる。だから常に皆の表情を見て、笑顔でいてくれてるかどうかを見るの。それとステージから皆の顔がよく見える時は、一人一人の目をちゃんと見てアイコンタクトを取るようにしてるわ。みんなに「自分もライブをやっている一員なんだ!」って感じてほしいの。

■ Bumpとはどうやって出会ったの？

私とBumpはフィラデルフィアにあるシグマサウンドスタジオで出会ったのよ。私がそこでレコーディングをしてた時にBumpがそのスタジオでエンジニアをしてたの。ある時レコーディングに一晩中かかっちゃって、終わった時にはもう朝だった。そしたらBumpが私を朝食に誘ってくれたの。その時にお互いの電話番号を交換して、それから電話で話したり、出かけたりって何ヶ月もしていくうちに付き合うことになって。その数年後に結婚するのことになったのよ。


■ フィラデルフィアはどんな街ですか？　お気に入りの場所を教えて？

フィリーはNYとか東京ほどではないけど大きな街よ。遊べるところもいっぱいあるし、観光できるようなところも沢山あるわ。おいしいレストランやクラブ、美術館や公園、それから大きな動物園なんかもあるのよ。その中でも私のお気に入りは“South Street”ってゆうところ。カフェ、バー、洋服屋、レコード屋、クラブ、なんでもあって遊びに尽きない場所よ。


■ 今フィラデルフィアの音楽シーンはどうですか？

フィリーのアンダーグラウンドシーンはいい音楽がいっぱいあると思う。HIP HOPや、ROCK、JAZZ、SOUL、本当にいろんなジャンルの素晴らしい音楽があるわ。それから最近は地元アーティストをすごくウェルカムするクラブが増えてきてるわね。

 

■ あなたにとって音楽の魅力は？

私にとって音楽作りは、私自身を表現する手段。私はいつも自分の感情や思っていることを音楽を通して表現しているの。言ってみれば音楽は私に“自分自身をさらけ出すチャンス”を与えてくれるものだと思ってる。“苦しみ”や“喜び”とかそいういう感情って普段あまり表に出さないけれど、音楽にすることで私はそいういうものを表現するの。そうすることで多くのリスナーが「自分も同じだ」って共感してくれたり、人生で苦難な場面に直面した時、それを乗り越える力に変わってくれると思うの。あと私がリスナーの時は最初にメロディーから入る。その人が生み出す旋律からそのアーティストの伝えようとしている感情が伝わってくるのよね。

■ 音楽以外で最近は何に興味がありますか？

ゲーム!　Wiiにハマっちゃった (笑)。楽しいのはもちろんだけど、ストレス解消にもなるしね。 日々の生活で嫌な事とかってあるじゃない、そんなものを忘れさせてくれるの。だから最近は友達とゲームで盛り上がるのがマイブームね(笑)。


■ 今後の目標を？

まずは、いい音楽作り。あとは、みんなに目標をあきらめずに立ち向かう勇気を音楽を通して与え続けて行きたいわ。それからもうひとつの私の新しい目標は日本語のお勉強。日本語が話せるようになったら日本にいる私の友達やファンのみんなと話せるでしょ。


■ 日本のファンへメッセージを。

人生っていろんなことがあるけど、どんなに辛いことがあってもGive upしないで。みんな絶対に一人じゃないから。常に夢を追いかけること、そして人に優しくすること。その気持ちを忘れないでね。

www.myspace.com/stephpockets





Photo > Yasunori Hasegawa
Interview > Hidenori Matsuoka
Thanks > HITOMI Productions
HIDDEN CHAMPION ISSUE#10 February, 2008