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GAGLE Interview

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仙台から世界へ、言葉の壁や気負いも無く当たり前の様に発信しつづけるGAGLE。
そのナチュラルな感覚は世界との交流に一番必要な物かもしれない。
そんな彼らの作品は純粋に音楽に対する尽きない興味と仲間に対する友情から生まれていた。


■ 音楽を始めたきっかけを教えて下さい。

HUNGER(以下H):「まぁ兄貴(Mitsu The Beats)との付き合いは生まれてから29年位なんですけど(笑)」


■ 29歳ですか?

H:「はい」

Mitsu The Beats(以下M):「僕は30歳(笑)」

Mu-R(以下Mu):「27歳です。」

H:「で、18歳位の時に兄貴に誘われてマイク持って、最初は2MCでNO DJでやってたんですけど」


■ NO DJですか?

M:「俺が曲をかけて、そのまま前に出て一緒にMCっていう感じで両方やってたんですよ」

H:「そんな感じでやってる時にDJ Mu-Rと知り合って、Mu-Rのパーティに遊びにいったり、Mu-Rが遊びに来てくれたりして仲良くなって、一緒にやろうって事になって、それが多分97年位で、3人になったししっかりやろうと思いだした頃ですね」


■ その前からDJとかはやってたんですか?


M:「僕はDJもやってて、別のグループとかもやってたんで」


■ どうして音楽を始めようと思ったんですか?

M :「HIP HOPを聞き始めて、アナログを買い出して、DJを始めて、もちろん良い曲もいっぱい有るんですけど、良くないと思う曲もいっぱい有って、自分だったらこうするのになってずっと思ってたんですよ。そしたらMPC2000が発売になって、これで作ってみようと思って始めました」

H :「僕もHIP HOPを聞いてて、兄貴から日本語でやってる人もいるよってテープ聞かされて、それで自分もやってみようと思ったのが最初ですね。新しい音楽だし、すごい可能性を感じたんで。でもやるからには日本人でやった事のないラップやらなきゃと思って。あとは、とにかく人を驚かしたりする事とか好きなんで」


■ じゃあ最初からDJではなくMCを?

H:「目立つ事が好きなんで。何かしら目立つ事したいなと思ってたんですよ」


■ Mu-Rさんは?

Mu:「高校の頃に、地元の先輩が昼間のパーティやってて初めてCLUBに行って、その雰囲気にやられて、そこでかかってたのがHIP HOPで、すぐDJやりたいと思いましたね。それで親が小さい頃から定期預金組んでくれてたんですけど、それが10万ちょっとあって、なんとかそれでターンテーブル買って、、、」

H:「あはは、かなり突っ込んだ話だね。初めて聞いたよ(笑)」

Mu:「実はそうだったんですよ。最初はダメだって言われたんですけど(笑)。でもそっからはもうレコード一筋みたいな感じですね。で、今に至ります」


■ ライブとかやる時に心がけてる事ってありますか?

M:「構成をすごく練るよね。みんなDJも出来るんで、DJ的な視点でここでこれがくるのは変でしょ?っていう感覚はすごく似てるとこがあって」

Mu:「一曲かけて終わり、でまた一曲かけて終わり、みたいなライブって多いじゃないですか。そうじゃなくて、例えば1バース、クイックで繋いだりとか、そういうDJ的視点な感じはありますね」

H:「あと、伝えやすいラップをしてると思うんで。結構ライブでも声通る方だと思うんで、そういう部分は生かして、まぁ盛り上げるだけじゃなくて、伝えられる能力を持ってるって事に自信を持って、俺達の作品知らない人もライブで楽しめる様に、伝えたい事を伝えられるというのがGAGLEの魅力かなと思いますね。知らなかったけどあの曲良い曲だねって、すぐに反響がくる事は多い方じゃないですかね」


■ この前出てもらったイベントの宣伝としてフライヤー配ってたら、絶対知らないでしょ?みたいな感じの女の子とかが、あっGAGLE出るんだ?っていう反応が多くてすごくビックリしたんですよ。

H:「うれしいですね」

Mu:「良い情報ですね(笑)」

H:「あはは(笑)。こだわりはあるけど、良いものは良いみたいな感じでいろんな人に聞いてもらう機会増やしてるんでそういう効果かもしれないですね」


■ 曲の制作はどういう流れでやっているんですか?


M:「まず、僕がトラックを作ってHUNGERに渡して歌詞を書いてもらって、Mu-Rとは曲を詰める時にスクラッチどうするみたいな流れが1つと、もう1つは3人で集まってこうしようとか。あと、最近の新しい方法としては、みんなで僕が作ったトラック聞きながらイメージを言い合うみたいな、その3つが主軸ですかね」

H:「1MCなんで自分の世界で完結出来るんですけど、やっぱりグループなんで、みんなの気持ちも曲にできたら良いなと思いますね」

Mu:「だから、今後はより3人で作ってる感は増えると思いますよ」


■ LIVEの時はMitsuさんもMCしますよね?


M:「僕はもうHUNGERのサポートって言う感じで、サビの時の厚みと休みの時間と、、、」

H:「重要な事ではあるよね。フォロー的なサポート。本当の意味でのサポート」

Mu:「普通のサイドMCじゃないよね。」

M:「音楽的なサポートの仕方をしてる。適当にイエーイエーとか言ってるんじゃなくて、ここの歌詞は言わないでくれとか、ここは合わせてとか、ここでは音程は下げてとかもこだわりはあって」

H:「そうだね。そういうとこはもう兄弟だし、細胞レベルで(笑)」

M:「(笑)たまに奇跡の合わせとかあるよね。」

H:「ある!」

M:「元の歌詞と全然違う遅れとかやるんですよ。そこにも付いてったり、多分感覚じゃないと出来ないよね」

H:「小節の一個まえのフローとかちょっと変えると、その後の韻の踏み方も変わるじゃないですか?だから俺がそうやってちょっと遊ぶと、兄貴が細胞レベルでそれを感知して、うまくハメてくるんですよ」

M:「これだけ聞くと凄そうですけど、かなり失敗してますけどね。でもうまく行くときはうまく行く」

Mu:「音とかもそうですよね。前でガーッとやっててもMitsuさんとかバランス見て俺のとこ来てもうちょっとこうみたいな事も言ってくるし、グループじゃないと出来ないですよね」

M:「改めて言ってみると俺達結構やってるね。ちゃんと(笑)」


■ じゃあMitsuさんに質問ですが、Mitsu the BeatsとGAGLEの違いってあるんですか?


M:「GAGLEに関しては3人でって言うのが大前提にあるんで、でもMitsu The Beatsに関しては自分一人なんで、その意識の違いはあるかもしれないけど曲の作り方は全く一緒なんで。ただHUNGERにはこういう方が合うなみたいな感じはありますけどね。ただやっぱり一番はGAGLEなんで。GAGLEの為にMitsu The Beatsもやってるっていう意識はありますね。だからMitsu The Beatsの事だけを知ってる海外の人にも同時にGAGLEの事も知ってもらいたいし、最初は日本語だし海外では無理だろってあきらめてたんですけど、このMCやばいねって海外のアーティストで言ってくれる人も多くて。特にヨーロッパの方とか反応が凄くよくて。まだ実現出来てない事も多いけど、オファーもたくさんあるし。そういう架け橋的なきっかけになる事も僕が一人でやる事に意味があるのかなと思いますね。」


■ 仙台から離れない理由って特別あるんですか?

H:「だんだん無くなってきてるかな。やれる事はまだあるし。仙台にいても達成されていってる感じもするし」

Mu:「生活もしやすいし」

M:「仲間もいっぱいいるんで。最終的には小さいスタジオでも作ってみんなで自主で出せるくらいの、それが理想的の生活だと思うんですよ。本格的なレコーディングも出来て、録りは全部仙台で出来るとか」

Mu:「録りも出来ないんですよ、今仙台では」

M:「本当の最終的な目標は、最終的なミックスまで自分で完結させるっていう事ですけど、そうなるにはもっと勉強しろよって事なんで」

Mu:「ちょっと勉強してもらっていいですか?(笑)」

M:「そんな時間があれば(笑)。仕事が無くなって暇になったらやりたいですけどね」

H:「仙台にもスゴイなって思える人達いっぱいいるんですよ。映像であったり、カメラであったり、トラック作ってたり、ラップしてたり。そういう人達に仙台でやってても出ていけるんだっていう事を見せていきたいし。いろんな状況があって、想いがあってもやめちゃう人っているじゃないですか?そういうのってもったいないと思うんですよ。だからそういう人達にも力になれる存在になれればいいなと思ってやってますね」


■ なんか街のなかで良い関係が出来てそうですね?

H:「そうですね。みんな切羽詰まってやってますよ。いろんな事に追われて。そういうの見ると僕たちも頑張ろうって。だから自分達が仙台に拘るとかいう前に、良い影響をすごい与え合ってるなって意味で、この街は凄い可能性を感じますね。」
 
 
■ 同郷で活躍されてるdj KENTAROとか見るとどうですか?

Mu:「うれしいですよね。KENTAROが中学くらいから知ってるんで」

M:「そこから連絡も途絶えずずっと仲良いんで」

Mu:「YouTubeとかで見るとグッと来ますよね。凄ぇここまで来たんだって」

M:「GAGLEのDVDにも入ってるんだけど、Grooveman Spotとスクラッチのショーをやって、それをKENTAROがビデオ撮りながら「スゲェー」って言ってる声が入ってて、そんな事言ってた人が今はこんなにみたいな」


■ でもそうやって一緒にあそんだりしてた人達がみんな活躍するって凄いですよね?


M:「みんながみんなそうなって、僕らとずっと一緒にやってたSound Market CrewもCD出す事になって。でもそうやって次に繋がってけば良いと思うんですよ。あ、でもこれだけシーンに影響を与えられる人が出てきてるんだけど、仙台には僕らの好きな新譜とか確実に揃うレコード屋が無くて、それがなんとかならないかなと思ってるところです」


■ 仙台のCLUBシーンはどうですか?

M:「ADDっていう僕らがやってるCLUBはかなり盛り上がってきてて、レゲエ始めたり、音にも拘ってるし、そういう良質なとこが増えれば人も集まってくるだろうって」

Mu:「結果そうなってますよね」


■ 音楽以外の趣味ってありますか?

H:「今はWii(笑)。映画とか絵とか本も好きだし」

M:「HUNGERは雑学じゃないけど芸術系を吸収するよね」

H:「やっぱ何か作ってる人って、すごい作品を見るだけでその裏側も見れるというか、そういう所が興味ありますね。何でも見る様にしてます」

M:「俺は雑誌で新製品を見るのが好きですね。新しい洗濯機とかでたら、こんな凄いんだとか思って。買う訳じゃないんですけど、ただ最新物を見たいだけなんですよ」

H:「機械が故障したりして買替えで相談すると8割9割位の確率で答えてくれますよ」

M:「小さい頃から直せもしないのに機械分解したりとか、プラモデル作ったりとか、大学の時は先生一人と僕一人でロボット制作の研究をしてて自立歩行するロボット作ったんですよ。多分物作りが好きなんですよ」

H:「物作りの観点でいうと兄貴はすごい物理的に見て、俺はどっちかというと感覚的というか思想的に見て。だから全然違いますね。兄貴は理数で、俺は文系」

M:「Mu-Rは中性(笑)」

H:「(笑)」

M:「Mu-Rはあんまりそういうとこ見えてこないね。っていうかMu-Rは本当にレコード好き」

Mu:「俺本当に1つの事にはまりやすいんですよ。中学の時は野球。で高校になったらレコードで今でもずっと続いてるみたいな感じですね」

M:「1つの事に対する集中は半端じゃないよね。最近DISCO 12インチにはまっててひたすら掘るみたいな。DJとしてあるべき姿ですね。」


■ では今後の予定とかビジョンを。

Mu:「BIG BANG THEORY SHUFFLEを2月21日にリリースして」

M:「その後、5月位に新しいアルバムを出す予定なんで、その制作を今してます」

Mu:「多分その後からツアーを30ヶ所くらいは回りたいですね。1年位かけて」

H:「あと、リリースペースをどんどん早くしたいですね。今は時代が変わってきてるんで、どんどん作品を作ってスピードをあげつつクオリティもあげて。今はそれを維持出来る様になってきてると思うんで。そういう感じでGAGLEの事をもっともっと広めていきたいなと思いますね」

M:「僕もソロアルバムが今年中には完成すると思うんで、海外にもアピールして行こうかなと思います。そんな感じです」

H:「今年は多作で。今は開かれてると思うんで。開かれてるから隠れたってしょうがないって感じで。どんどん出していこうよって」





<プロフィール>
GAGLE(ガグル)
2000 年デビューEP [ Bust the Facts ]でまさに彗星のごとく日本のHIPHOPシーンに現れた仙台在住の三人組。2002年にリリースしたファーストフルアルバム [ 3 men on wax ]は世界中の主要DJ(フィル・アッシャー、パトリック・フォージ、ジャイルス・ピーターソン等がこぞって絶賛。雑誌BLAST誌では、2003年期待されるサウンドプロデューサーとして第一位! US音楽誌URBでは 2004年の有望アーティスト100にHIP HOP プロデューサーとして初の日本人として選出され、世界規模でその評価を獲得。その間、HUNGER は自主レーベル松竹梅レコードを立ち上げ、激レア化した7インチ [ 祖国語ボクシング ] をリリースしたのは記憶に新しい。
2004年にはミニアルバム [ Superego ]で待望のメジャーデビューを果たし、2005年11月ついに満を持してセカンドフルアルバム [ BIG BANG THEORY ] をリリース。また、現在O.A 中の NEC FOMA『N902iX HIGH SPEED』のCMに楽曲提供及びCMキャラクターとしてもお茶の間にハンガー節を轟かせ、今や全国のラッパーに多くの影響を与える存在になっている。
www.myspace.com/gaglemusic



Text, Photo > Hidenori Matsuoka
HIDDEN CHAMPION ISSUE#08 February, 2007

 

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