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Team 430 -Fourthirty- Interview

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日本のBMXシーンを語る上で欠かす事の出来ないチーム、”フォーサーティ”。 その中心メンバーである、ディレクターの上原洋とプロライダーの田中光太郎に、彼らの出会いから、今の気持ち、BMXに対する思いを聞いた。


■    まず430の事を教えて下さい。

Hiroshi Uehara(以下H):BMXが好きな連中が集まって出来たチームで、洋服を作ったり、映像をプロデュースしたり、もちろんBMXのショーをやったりと色々な事をやるチームです。僕たちに興味を持ってくれた人がいれば一緒に何かやろうよって事になるし、特に何かにこだわることもなく、好きなことをやってるって感じですね。


■    430って正確には何人いるんですか?

H:オリジナルは5人、それ以外は把握出来ない(笑)。


■    オリジナルメンバーって?

H:僕と田中光太郎と伊東高志、岡村旭、小谷明生。この小谷明生が一番不良です(笑)。それ以外となると、この前、光太郎と一緒にショーをやった内野とか。彼らは小谷明生の弟子みたいな感じなんですけど、自分たち430って言ってくれる。そういうのは嬉しいですね。みんな430だと思ってるんで。


■    430っていう名前の由来は


H:チームの誕生日ですね。4月30日なんですよ。


■    それは何年前ですか

H:96年なんで11年前ですね。
 

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■    BMXを始めたきっかけを聞かせて下さい。

Kotaro Tanaka(以下K):高校1年のとき、乗ってた自転車が盗まれたから、替わりの自転車を買いに行ったんですよ。最初マウンテンバイクを買おうと思ってたんですけど、お店行ったら小っちゃくてカッコいい自転車があって、「これヤベェー」って思ってすぐ買って。そしたらどうやら技が出来るらしいって事を知り「これBMXっていうんだぁ」って(笑)。ハンドルを回したりしながら板橋区で一人で乗ってたんですけど、当時は何も分からなくて駒沢公園とかに偵察に行ったりしてましたね。その後、94年に大会に出てみたら、初出場で優勝して。


■ すごいですね。

K:やってた事がデタラメだったから逆に受けたみたいです(笑)。そこからは友達も増えて、大会の手伝いとかもする様になったんですよ。


■ 430のメンバーと出会ったのはその頃ですか?

K:浅草で大会があった時に、最寄りの田原町って駅でBMXを組み立ててるホッペタの赤い少年がいて(笑)。「君、大会出るの?」って聞いたら、「あっハイ!僕、岡山から来た上原洋といいます!」って(笑)。で、一緒に会場へ向かってたら、「東京に田中光太郎って人いますか?」って聞いて来るんですよ。それ俺じゃんって思って。


■    すごい出会いですね(笑)。

K:そう。なんで俺の事知ってるのって聞いたら、大阪の岡村旭に、「東京に行くなら田中光太郎を頼っていけばナントカなるって言われた」って言うんですよ。岡村旭は僕が始める前からBMXやってて、年下のくせにスゴいウマイってまわりでも評判だったんですね。で、岡村旭が一度だけ僕らがBMXやってた池袋に来たことがあったんですよ。普段は駒沢公園とかメインスポットでしかやらないのに、たまたまやってたところに来て。それでみんなでジャムセッションしたんですけど、ホント楽しかったっすね。でも、その1回しか会った事なくて、ほとんど話してもなかったんですけどね。


■ なのに信頼されてたと。


H:その話の前に僕がBMXを始めたきっかけなんですけど、高校の時にオーストラリアに短期留学したとき、そのホームステイ先の人がBMXをやってたんですね。それで初めて存在を知ったんですよ。当時スケボーはやってたんですけど、自転車でスケボーみたいなフリースタイルってあるんだって驚いて、岡山帰って早速BMX買ったんです。でも周りにやってる人が少なくて。それで大阪城公園で大会があるって聞いて行ってみたら、赤い髪のすごい不良がいて。それが岡村旭だったんですよ(笑)。それから仲良くなって、「俺、今度東京に行くんだ」って話したら、大阪の人達はみんな「東京者は冷たい」とかすごい言うんですよ。でも「唯一、田中光太郎はいいヤツだ」って話になって、「悪い様にはされないよ」って言われて(笑)。

K:俺もその話を聞いたときは嬉しくて。でも、一度しか会ってないのに良く俺の名前言ったなって思ったけど(笑)。でもそれで洋と出会って、聞いたら泊まる宿もないって言うから、「じゃあウチ来なよ」って。

H:なぜか東京は24時間営業の泊まれる映画館があると思い込んでたんですよ(笑)。

K:そんなトコあったら教えてくれって(笑)。

H:それが高校の卒業式の10日くらい前で、結局そのまま卒業式の前日まで光太郎の家にいて。

K:じゃあ今度は俺が岡山行くよって言って、翌月にはもう行ったっていう。

H:その頃僕は神戸にもよく行ってて、そこで小谷明生を光太郎に紹介して。そしたら俺たちはクルーだろ?って子供みたいなノリで、ちょうどその日が4月30日だったんですよ。だから仮で「フォーサーティ」だって(笑)。


■ 誕生の瞬間ですね。

H:そうですね。そして、伊東高志と岡村旭も一緒に始めるんですけど、その頃2人は既にブッチぎりでトップライダーだったんです。だからトップのヤツをチームに入れるとね。

K:俺たちが光らないんじゃないかって(笑)。

H:でも、結局その5人で一緒に動いてる事が多かったんで。じゃあ5人でスタートだって。

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■    BMXの魅力ってなんですか?

H:今思えば、やってる人間が少なかったのが重要だった気がします。だから同じ事をやってる人と出会うとスゴく仲良くなれたし。一番カッコイイカルチャーだと信じてる者同士だと、仲良くなるのもハンパじゃないんで。

K:僕は、技に規定が無くてフリースタイルなところ。あとは、一番自分を表現しやすかったんですね。言葉もいらないし、同じ技でも色々な見せ方が出来るし。グルグル回ったり、たまにギャグな技もやったりして。みんなが喜んでる反応を見るのが大好きなんで。


■    BMX以外で興味ある事ってありますか?

H:僕は一昨年まで2年間香港に住んでたんですけど、その時はBMXからちょっと離れて、色々な事をフラットに見て勉強する事が出来たんですよ。映画を作る現場だったり、モデルだったり、洋服作りに没頭していた時期もあったり。そうやって好きなことから一度離れて、また戻ってきた今は自分の中でBMXはやっぱりスゴくアツいですね。だから興味は結局BMXです。

K:俺はBMX=自分っていう感じで、自分の表現方法としてそれがあると思ってるんで、常にBMXがアツいですね。今はそれをどれだけカッコ良く見せれるかっていう事に一番興味があります。

 

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■ 今後やりたい事や展望を。


K:音楽やDJ、ブレイクダンスとか色んなモノが、BMXと一緒にできたらもっとおもしろいと思うし、自分のカッコいいと思うモノをどれだけ形に出来るか、やっていきたいですね。それは舞台や照明だったり、BMXにしても体の動きや伸び方だったり、色々な要素があるので。それで自分のカッコ良いと思うモノを他人も認めてくれたらスゴく嬉しい。そして僕は僕にしか出来ないBMXの魅力や楽しさをもっと伝えて行きたいですね。

H:光太郎らしいですね。僕はBMXライダーとして田中光太郎が行ける所が、今のBMXが目指せる所だと思うんです。彼は前に他のインタビューで「夢は何ですか?」って聞かれた時に「BMXライダーの夢になりたい」って答えたんですよ。僕はそのコメントがすごく好きで。だから僕は、彼が行ける所まで同じ道を一緒に作っていきたいですね。

K:ずっと夢を持ってやってきた今だからこそ、現実に出来る事もあるじゃないですか。今度は俺たちが誰かの夢になる番かなと思う。だから、チビっ子からおじいちゃん、おばあちゃんまで、もっと色んな人達にBMXの魅力を伝えたい。人と話す事も苦手だった僕が、BMXをはじめて変わっていって、伝えたい事をちゃんと伝えられる様になれたし、このおかげで今の自分がある。だから今度はBMXの為に出来る事をしたいんですよ。練習する所が無くて仕方無く夜の駅とかで乗ってると、傍から見たら不良の遊びに見えたりするけど、実際はそうじゃなくて、みんな考えて、マナーを守って頑張って、大会の為に必死に練習してるんですよ。しかもちゃんと仕事もして、寝る間も惜しんでね。そういう事もわかってほしいし、僕なりの言葉と行動で、BMXがもっと良い意味で認知される様に伝えていきたい。

H:それが430のやりたい事だったりするんですよね。BMXをやってない人が430の洋服や活動を気に入ってくれる事も嬉しい。でも僕ら430はfrom BMXライダーだよって事をちゃんと伝えていくことが重要。今僕が作ってるHUDSONの高橋名人のCMもfrom BMXライダーってことでBMXへの興味を持ってもらえれば嬉しいし。


■    では、最後にこれを読んでる人達にメッセージを。


H:僕はたまたまBMXに出会ったけど、本当に一番大切なのはBMXではなくて、BMXを通して本当に良い友達が出来た事。10年来の友達を作るには10年掛かると思うので。夢中になれる物を1つ見つけると良い仲間が見つかる可能性も大きくなるんじゃないかな。

K:直感を信じろって事を言いたいですね。本当に“面白そう”とか“欲しい”とか思った時には絶対にやった方が良い。頑張れば頑張る程、絶対にそれを否定するヤツは出てくるけど、自分を信じて欲しい。面白そうと頭で描ける時点で絶対に面白いんですよ。だから、その為に自分を磨いて欲しいですね。体を作ったり、お金を貯めたり。直感がビカーッと来た時にそれを手に入れる事が出来る様に自分を磨いて欲しいですね。

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www.t430.com





Text, Photo > Hidenori Matsuoka
HIDDEN CHAMPION ISSUE#09 August, 2007

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