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Kevin Devine Interview

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バックグラウンドであるグラフィティ & パンク・ロックのDIY精神で、ドローイングやペインティング、コラージュ、そしてグラフィック・デザインと様々な手法でスタイルに囚われず表現している。


■ 出身はどこ?
Keven Devine(以下Kevin):アメリカ中西部のカンザス・シティだよ。16才のときに高校を退学になって、そのまま大学に進学したんだ。...高校の校長にここで一言お礼を言わせてくれる? F○○k you!!! アイツはオレらに「明るい未来は無い」と散々言ってたんだ。最低の教育者だよ。

■ 大学はどこに行ったの?
Kevin:カンザス州のローレンスにあるデザイン・スクール。そこでグラフィティをやってる連中と出会ったんだ。自分たちのことをLFCって呼んでたよ。意味は、Lawrence Fools Crew(ローレンスのアホなクルー)。クルーはAaron Storck a.k.a NastyとDan F. a.k.a Ninjas、B. Mackin a.k.a Test One、それに親友のTyler M. a.k.a Next。ローレンスには貨物列車の待機場があって、そこが格好のグラフィティ・スポットだったんだ。ほとんど毎日のように通っていたから、何度も警察に追い回されたよ。ローレンスはすごく美しい町で、チルアウト・タウンって感だね。グラフィティもハードコアなものじゃなくて、街の雰囲気に合うような感じに描いてたよ。なかでも、満月の夜にみんなで描きに行ったことは今でも覚えてる。必要なのは、カバン一杯のスプレー缶だけ。それで一晩中楽しめたんだ。カンザス・シティにもグラフィティのシーンがあって、ABC、Ill Kids、ATTなんかがヤバかった。カンザス・シティにいた頃は、彼らほどタイトにやってなかったけど、彼らの影響はすごく受けたと思う。

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Harvest Festival1 (2005)

■ 作品を作り始めたのはいつ頃?
Kevin:小さなときから絵は描いていたよ。母親がアートに熱心だったから、絵を描く道具を揃えてくれたり、週末にドローイング・クラスに通わせたり。でも、ドローイングの手法を学んだのは、7歳の頃に見てた『Secret City』って変った子供番組からだった。毎週土曜日の朝にやってて、そこに出てくる"Captain Ron"って変わったオッサンが、どのようにしてバランス良く描くかをレクチャーしてたんだ。彼はエピソードごとに壁画を描いていたよ。彼のスタイルはDr. Seuss(絵本作家)みたいだったな。その番組に感化されて、ドローイングを始めたんだ。アーティストになりたいと最初に思ったのは、Andrew Wyethの本を見たときだね。

■ NYに来たのはなぜ?
Kevin:NYには学生の頃からちょくちょく遊びに行っててね。大学を卒業して、友達の多くがNYに移ったり、知り合いがNYに住んでたから、自分も引っ越すことに決めたんだ。こっちに来てから仕事を見つけ、自転車を手に入れて、今は順調に暮らしているよ。NYはクレイジーな街だね。だけど、誰でもここに落ち着くことができる。どこから来たかなんてことは、あまり関係ない。唯一の不平を言えば、この街の生活スピードは異常な速さだってこと。みんなもうちょっとスロー・ダウンしてチル・アウトしなきゃ。仕事に追われてる人を見ると、なんだかもう笑うしかないね。

■ NYでは普段、どんな日々を送っているの?
Kevin:BMXに仕事、あとは女の子さ(笑)。

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Purgatory (2005)

■ 日常生活のどんな時に作品のインスピレーションが沸いてくる?
Kevin:音楽からのインスピレーションは大きい。どんな音楽でも、音楽とそれに関するサブカルチャー的な要素から、いろんなインスピレーションが沸いてくる。オレはメタルとかパンクを聴いて育ってきたんだ。Minor Threat、Bad Brains、Suicidal Tendenciesなんかが特にお気に入りだった。ライブでもみくちゃになるのをいつも楽しんでたよ。その中でも、まだすごく若くて小さかったから、踏みつけられないように、いつも肘を張ってガードしながらスラム(パンクのギグで互いに殴り合うダンス)してたよ。パンクのエナジーはホントすごいし、そこが大好きだね。最近だとダブやダンスホール・レゲエをよく聴いている。もちろんヒップホップやR & Bも好きだし、クラシックなロックも聴くよ。作品を作るときはいつでも、音楽を聴いてる。音楽がオレ突き動かしてるんだ。今、一番のおすすめが"Japanther"(japanther.com)。いい名前じゃない? マジでいいからチェックしてみてよ。

■ 今までで一番影響を受けた人って誰だと思う?
Kevin:Ian Mackaye(ハードコア・バンドのMinor Threatのvo. & g.でありFugaziのリーダー)。なぜって? 彼は世の中のシステムに頑なに抵抗し、何もないところから全てを創り上げた人。とてもポジティブな力を感じるし、尊敬してるよ。

■ アーティストでは誰が好き?
Kevin:Ed RuschaとJeff Koons。それにAndy Warholも。周りの友達にもすごく刺激を受けている。一生懸命働いて、一生懸命に遊んでる! Kimou Meyer(grotesk.to)は最高のグラフィック・デザイナーだよ。The Collabros(Romeo-Rex & The RifRaf)も素晴らしいイラストレーターだね。

■ 昨秋に主催した"Warmaking"展について聞かせてくれる?
Kevin:去年の10月にリビエラ・ギャラリー(seeyouattheriviera.com)でやったアート・ショウで、自分と、オレがキュレートしたアーティストが参加したグループ展だよ。いろんな反応があったし、すごくよかったんじゃないかな。ショウのコンセプトは"戦争と自然"。「戦争は自然的は現象なのか?」ってこと。オレ自身が思うには、戦争や闘争っていうのは、誰もが持っている人間性の一部であるような気がするんだ。このショウのために製作した作品は、オカルト神話的なトーテムポールのスタイルからインスパイアされたもので、優雅なものから死へと向かうイメージなんだ。貴族と一緒にいるような権力を持った人間は、その力で自らを滅ぼすと思ったんだ。オレは死後の世界を信じてないけど、人間がどこに辿り着くのかを考えるのは楽しいよ。

■ 最近はどんなプロジェクトに参加してるの?
Kevin:フリーランスでもいろんなプロジェクトに関わっているよ。Stussyのプロダクト・デザインをやったり、Zoo Yorkにスケート・デッキのためのグラフィックを提供したりね。Surface To Airから頼まれて、And Aに作品を提供したけど、どんな展開になるかはまだ分からない。彼らが言うには、その作品をTシャツにするわけではないらしい。どうなるか楽しみだね。そのほかにも、アパレル関係のグラフィックや洋服のデザインもやってるよ。

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Judgement (2005)

■ 最近起こった出来事で、印象深いエピソードがあったら教えてくれる?
Kevin:先月、いつもブルックリンで遊んでる仲間とドミニカ共和国に行ったんだけど、すごい美しい国だった。ATVs(四輪バギー)に乗って鶏闘を見に行ったり、朝からラム酒を飲んで酔っ払ったりね。最高の時間を過ごせたよ。

■ 今後の予定を教えてくれる?
Kevin:NYの新しいグラフィティのクルー"401k"が動き始めたよ。フルタイムで企業で働きながら、パートタイムでグラフィティ・ライターをやってる連中だね。こじんまりと、ただ自分達がやりたいことを楽しむために集まってるんだ。NYで生きることは、常に新しいスタイルを発展させるためだから、四六時中いろんなアイデアやプロジェクトを考えてても、今の自分のスタイルに決して満足してない。これからもずっとそうだと思うし、それだから面白いんだと思う。自分にとって何が一番の刺激になっているかって言ったら、それはこの進化の過程にあると思うね。アインシュタインの言葉に「真実を追究することが、財産よりも一番大事なこと」ってのがあるけど、自分に置き換えれば、まさにアートを探求することが全てって感じさ。

www.kevindevine.com


Text > Tomoharu Koutsuka
HIDDEN CHAMPION ISSUE#07 August, 2006
 

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