NY在住。80年代にグラフィティ・ライター“SP ONE”として暗躍。
作家に転向後は、ストリートから集めた素材を使い、カラフルなレタリングやアイコンを散りばめたコラージュ作品を制作している。
■ 出身はどこですか?
Greg Lamarche(以下Greg):生まれも育ちもニューヨークのクイーンズだよ。
■ 生粋のニューヨーカーなんですね。
Greg:ボストンにある大学へ進学して一時期、NYを一旦離れた以外は、人生のほとんどの時間をNYで過ごしてきたよ。今は生活と仕事の拠点をマンハッタンに移したけど、それまではずっとクイーンズだったんだ。NYこそ、自分が自分でいられる唯一の場所だね。作品を作る上でも、この街から常に刺激を受けているよ。
■ 若い頃は、どんな環境で育ったんですか?
Greg:子供の頃は両親のようになりたいと思っていたんだ。彼らは常にクリエイティブな考え方を持っていたから、ものすごく影響を受けた。クレヨンやペンを握るようになったのと同時にドローイングに夢中になったし、成長してからはグラフィティにハマって、四六時中、電車にボムすることを考えていたようなガキだったよ。将来の夢は漠然としていたけど、何かクリエイティブな仕事をしたいといつも思っていたね。
■ “SP ONE”という名前でも活動してますが、SP ONEについて教えてください。
Greg:この名前で、ストリートでの名声と悪名を得たとでも言うかな。ただのグラフィティ・ライター以上の様々な可能性にチャレンジすることができるようになったきっかけだよ。
■ 本名のGreg LamarcheとSP ONEとの作品の違いはありますか?
Greg:SP ONEはブランド・ネームとして、主にコマーシャルなプロジェクトの時に用いることが多い。個人的な作品にはGreg Lamarcheと記してあるよ。
Spothunters (2006)
■ グラフィティのピース以外で、最初に作品を作ったのはいつですか?
Greg:1981年に花火の包装紙を使ったコラージュを作ったのが最初の作品だよ。それ以降、コラージュに使えそうな素材を集めるようになったんだ。
■ コラージュの表現方法にはグラフィティからの影響はありますか?
Greg:作品をひとつずつ突き詰めていけば、グラフィティからの影響はもちろん大きいと思うけど、コラージュを用いた作品に関して言えば、Kurt Schwittersの初期作品に衝撃を受けたね。
■ コラージュのアイデアはどこから生まれてくるんですか?
Greg:オレを取り巻くすべてがアイデアのきっかけだね。さっきも言った通り、NYの街は刺激に満ち溢れているからさ。スタジオへ向かう途中だったり、地下鉄に乗っている時なんかもだね。例えば、“Junior's Living”って作品の場合だと、ある時、地下鉄に乗っていたらオールドスクールのライター・Junior 161の古いタグを見つけてね。それを見た瞬間、70年代当時に描かれた、まだ色褪せてない頃の雰囲気を持ったコラージュを作ろうと決めたんだ。この街で自分の世界感を表現するのはとても簡単なことさ。あとは、旅先でその土地から受ける刺激を吸収すること。自分の知らない街で、コラージュの素材を探し回るのが好きなんだ。
Untitled, (Blue SP) (2003)
■ 今まで旅した中で、どこが気に入ってますか?
Greg:バハマのアバコ島は最高だったよ。10日間、電話も車もメールもない、くつろいだ時間を過ごせた。
■ 最近の活動について教えてください。
Greg:Zoo YorkのスケートデッキとTシャツのグラフィックをデザインしたよ。これは限定販売だったから、リリース記念のパーティも兼ねてNYのreed space.で個展も開いたんだ。それと、オレンジカウンティ・ミュージアムの“Happening”ってイベント(thehappeninglive.com)にも作品を出展したね。今は、長期的に取り組んでるコマーシャル・プロジェクトと、新しい作品の制作をスタジオで進めている。
■ 最近は何に興味がありますか?
Greg:最近はよく写真を撮っているよ。70〜80年代の古いグラフィティをドキュメントしてるんだ。NYは特に、再開発などでであっという間に街が変わっていくから、貴重な歴史の一部を切り取っておくことにしたんだ。
■ 今後の予定を聞かせてください。
Greg:3月にサンフランシスコのWhite Walls galleryで開催するAndrew Schoultzとのショウに向けた作品制作に追われているよ。4月には“Happening”がNYでも開催する予定。5月にはチェルシーのDavid Krut Projectsでのグループ展“Home Grown, curated by Renee Riccardo”にも参加する予定だよ。
text > Kyosuke Ochiai
photo > Stephen Schuster
HIDDEN CHAMPION ISSUE#08 February, 2007