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M-SWIFT Interview

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■ 音楽との出会いは?

小、中学生のころはロックが流行ってて、だから僕もまわりと同じくロック小僧でしたね。中一ぐらいでギタ−をはじめて、当時は特にブルースロックみたいなのが流行ってたんですよ。それをきっかけにブルースを聴くようになって。そしてブルースのもとは何なのかって音楽自体に興味を持つようになり、どんどん昔のことを調べているうちにもうブルースにハマっちゃって。それがブラックミュージックとの出会いですね。それでブルースから、結局はジャズに辿り着いて、18歳ぐらいからはしばらくジャズギタリストとして都内でいろいろやらせてもらってました。


■ 中学生で昔のブルースを聴くって、まわりにはいなかったんじゃないですか?

そうですね、確かにまわりの同意は得られてなかったですね(笑)。ただ当時からすぐ何かに夢中になったり、研究家気質があったり。あとは思い込みが激しいタイプみたいで、音楽をやるって決めたら必ずプロになるみたいなところはありましたね。


■ そこからいまの音楽に至ったのはなぜ?

ブラックミュージック全般を幅広く聴くようになって、そのなかにハウスがあったり、ヒップホップがあったりして、それでジャズから徐々に移行したって感じです。


■ M-SWIFTとして活動するきっかけは?

プレイヤー的な立場から言うと、僕はそれほど器用じゃなかったんですよ。僕よりも早く指が動く人はたくさんいたし。でも当時からものを作ることに関しては負けないと思ってて、それでプレイヤーからプロデューサーへ。作ることで表現する方がより自分にあってるんじゃないかなと思って転向したんです。


■ プレイヤーとしての経験はいま活かされてます?


そうですね、楽器の知識あるプロデューサーこそできること、それが今回のアルバムでも特にやりたかったことで、トラックを音楽的に構築することを目指しました。あとは僕の音楽って、ホントの意味でブラックミュージックっぽいって良く言われるんですけど、それは若いころにジャズとかブルースをやり続けてきたからだと思うんですよね。そういう意味では、今までやってきたことは役立っていると思います。
 

vanessa.jpg Vanessa Hayneswerner.jpg Werner


■ M-SWIFTはソロプロジェクトという捉え方でいいんですか?

これがすごく微妙なところなんですよ(笑)。英語で言うとミュージシャン・ネットワークっていう言葉になるんですけど、日本語ではいまいち伝わりにくい。もともと一人称的なものをやりたいって思っていて、でもひとりじゃなかなかできないので、どんどんまわりの仲間やいいなって思う人に声をかけていったんです。そうしているうちに少しずつメンバーというか、参加者も固定してきて。今回のアルバムに参加しているベースのニック・コーエンやボーカルのヴァネッサも僕が声をかけて知り合ったんです。そうやって人とのつながりがM-SWIFTになっていく。だからM-SWIFTは僕ひとりの力ではないんですけど、発端という意味では僕のソロプロジェクトなのかもしれないですね。


■ 今回のアルバムは全編ロンドンで作られたんですよね。M-SWIFTはロンドンと深いつながりがあるようですが。


そうですね。2年前からロンドンに行ってて、今年帰ってきたんですけど、今回の作品もちょっとカッコイイ言い方をすると、ある意味僕の冒険記みたいな感じ(笑)。いろいろなアーティストと知り合いながら作ってたんで。

nick.jpg Nick Cohen
marcus2.jpg Marcus Begg


■ それにしてもインコグニートのベース、ニック・コーエンやレストレス・ソウルでも参加しているマーカス・ベッグなど、ビッグネームたちと一緒にやってきたわけで。これってスゴイことだと思うんですよ。彼らに認められたってことだし。

ロンドンでいろいろな人と話していくうちに、やっぱり日本でしていた事と同じことをやってもダメだと気付いたんです。例えば日本語で自信というと、どこか威張っているような響きがあるけど、英語で言うself-confidentはそうじゃない。自分を信じていないと何も人に頼めないし、自分を信じることからまず始まるんですね。向こうでは多くのミュージシャンが厳しい状況のなかで頑張っていて、だからみんな積極的に動くんです。そういうところはロンドンにいて、見習うべきところだなと思って、僕も実践してたんですけど。


■ 楽曲制作の際に最も意識していることは?

ありきたりにならないこと。良い音楽ってある程度型にはまった部分、普遍的なところがあると思うんですが、良いものを作りつつもありきたりにならないように、少しの冒険心を持ってやりたいですね。それが強過ぎるとかえって受け入れられなくなるんでしょうけど、そのバランスを大事にしたいなって。


■ では音楽活動におけるモチベーションはどこから?

どんなことでも同じだと思うんですけど、最初は好きで初めて、でもそれだけじゃどうにもならないじゃないですか。僕は音楽の才能があるかはわからないけど、でも良い音楽を理解する才能はあると思うんですね。だから自分が作ったものを冷静に先人たちが作ったものと比べて、明らかに負けてるものは嫌なんです。高度な音楽ができあがった今、少なくとも自分が作ったものが過去に戻っていてもしょうがないし、何か一歩進めたものにしたい。そういう意地があるのかなって思います。勝てないまでも、負けたくないっていう。


■ ダンスミュージックの魅力は?

ロンドンでブラックミュージックの中にどっぷり浸かっていて、向こうはやっぱり踊るっていう文化が強い国なんですよね。だから僕もドラム、リズムに関してはかなり洗礼を受けて、身体を動かすぐらい力強いものでないと人は踊らないってわかったんです。だからそれは意識して作っているので、自然にリズムはタイトなものになってますね。そこが僕らのやっている音楽、メロディアスになろうが、どんなジャンルになろうがダンスさせるっていうのがコンセプトでもある。もしかしたら50、60になったらそれも変わるかもしれないですけど、今はクラブ行くのもDJするのも好きだし、僕自身そういうカルチャーの中で育ってきたので、そういうところで勝負していきたいです。


■ 次回の「bathroom」に出演されるんですよね。

そうですね、スゴく楽しみです。今回は僕がやってきたミュ−ジシャン・ネットワークの中から、ピアノの堀秀彰をはじめ日本人のプレイヤーを10人ぐらい、あとはボーカルのヴァネッサも加えた混成メンバーでやろうと思ってます。ハウスやジャズを中心にヒップホップもファンクもありって感じで、総合的なブラックミュージックを紹介するような感じで楽しませることができればいいなって思ってます。


■ 今後の展望、活動予定を教えてください。

セカンドアルバムを目指しつつ、その間にもいろいろとやっていこうかと。今も今回ボーカルとして一緒にやったマーカス・ベッグとソロ・アルバムを一緒に作っていたり、いろいろなプロジェクトをやってますよ。プロデューサーとしても、リミキサーとしても。



<プロフィール>
M-SWIFT(エムスゥイフト)
日本人プロデューサー松下昇平によるM-SWIFT。7月18日に1STアルバム「Morning Light」をIRMA recordsよりリリース。ロンドンで制作されたそのアルバムは、新人としては異例の好セールスを記録。2004年から活動を開始、Jazztronik、須永辰緒氏、STUDIO APARTMENT等と共にflower recordsの「F.E.E.L.3」や、IRMA recordsの「SISTER BOSSA6」、「SISTER BOSSA7」に参加。その後ロンドンに渡り、PHIL ASHER、 NATHAN HAYNESで歌うMARCUS BEGG、ベーシストとしてINCOGNITOやBAH SAMBAに参加するNICK COHEN、そして期待の新人ボーカリストVANESSA HAYNESらとともにアルバムを制作。1STシングル「MORNING LIGHT」は国内外の数多くの有名コンピレーションに収録。またTIGER STRIPESをリミキサーに迎えた2NDシングル「KOSMIC LOVE」もおなじくスマッシュヒットし、ROGER SANCHEZのミックスCDに収録されるなど、海外でも話題を振りまいている。そしてディスコクラシックAQUARIAN DREAM「FANTASY」のカバーを、ベルギーから最先端のダンストラックを届けるSPIRIT CATCHERのリミックスを収録し3RDシングルとしてリリースする。

www.irmagroup.jp

 

 


Text > Tadayuki Sugiyama
HIDDEN CHAMPION ISSUE#09 August, 2007
 

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