シンガポールの友人が、結婚式のためにすてきな招待状をレタープレス、昔ながらの凸版印刷方式で製作するという話を聞いて、印刷スタジオに見学に行った。
プレートに、ローラーでインクを塗る。
紙の位置を慎重に確かめて、丁寧に手入れされた重厚感のある機械のバーを、力いっぱいグルっと回す。
印刷する紙、一枚一枚に対してこの作業を繰り返す。
招待客への気持ちを込めて、新婚夫婦の共同作業。
本当にいい場所見つけたなぁこの二人!
The Gentlemen's Pressという名前のレタープレススタジオを経営するのは、まだ20代の女の子、Michelle。凸版印刷の魅力に惹かれ、大学に行くのを諦めて、アメリカから100年前の印刷機を輸入して、小さなビジネスを始めたそう。
「本当にやりたい事をやるためには、衝動的にならないといけない。」
「アナログレコードが無くならないのは、その品質が素晴らしいからで、レタープレスも同様に、絶滅するものではないと思ってる。」
「レタープレスとは、不完全さを極めるもの。」
「なんでこんなことやってるか、不安になることもあるんだけど、若い時っていろんなことがわけわからなかったりするけど、やりたい気分だから続けるの。そうすれば、そのうち意味がわかるのかな。」
シンガポールをはじめ、東南アジアでは若くてインディペンデントな起業家が活躍していて、Michelleのようなコと出会うたびに勇気が湧いて来る。彼女が言うように、クリックするだけで微調整のできるデジタルなタイポグラフィーではなく、フリマなどで昔のフォントの掘り出し物を見つけたり、インクの色も自分で混ぜて作ったり、全ての手作業で一つ一つ仕上げるメッセージ、こういう時代だからこそ美しい重みがあるなー。@マークとか、無いのとかもとてもいい。