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Posted by @momomagazine

ゲストルームできたよ。

賃貸情報のウェブサイトを、祈りを捧げるかのように毎日何度もチェックして見つけたアパートが、数ヶ月間かけてやっと機能的で気持ちのよい空間になってきた気がする。まだエアコンが無かった時代に造られたと思われるエレベータ無しの4階建てマンション。ピカピカでハイテクな建物ばかりのシンガポールで、時代を感じさせてくれる造りのひとつひとつがたまらなく大好きなのだ。窓を少し開けるだけで、魔法のように部屋中を風が通り抜ける。南国の太陽の光をちょうどよく取り入れてくれる窓、高めの天井に取り付けられた扇風機、暑い日でもひんやりとした空気が流れるリビングには、鉢植えがどんどん増えていく。私にも根っこが生えはじめているようで、外に出ない言い訳ばかりを考えるようになった。

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2つあるベッドルームのうち、ずっと物置のように使っていた(というか使っていなかった)部屋に、ベッドを置いたことで、ゲストルームができた。東京、フィラデルフィア、ニューヨークで部屋を借りたけど、好きに使える余分な部屋がある状態というのは、人生初だ。サンタフェで購入したネイティブアメリカンのベッドスローに合わせて、しまいっぱなしだったアートなどいろいろ引っ張りだして飾ったり、いろいろな国のホテルやヴィラを思い出して、ゲストにとって最低限必要な設備みたいなものを考える。今年だけで20部屋以上のホテル部屋に滞在した経験が無駄にならなかった。

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ちょうどゲストルームができたタイミングで、シンガポールに遊びにくる友達が増えてきた。何ヶ月も前から計画して、自分達で行きたい場所をしっかり調べてくる友人もいれば、本当に思い立ってから1日半後に突然現れる友人もいる。急に旅をしたくなって、パソコン開いて飛行機チケット検索する時の気持ちは本当によくわかる。そしてそのゾクゾクが、出発日にむけて少しずつ増していく感じ。飛行機が離陸する瞬間の振動といっしょに、ガタガタ震える心臓がとても楽しい場所に向かって飛び出してしまいそうになる、あの感じ。

毎日決められた時間に沿って、誰かのルールに従い、働き続けるのというのは、ある意味安全な暮らしだと思う。休みを確保して、リサーチを重ねて、仕事や人間関係を調整し、持ち物を揃えて旅に出る方が、よっぽどめんどくさく、危険で、リスクが高い。でも、自分の勘や欲望に忠実に生きるというのは、そういうことだ。心が感じるままに、興味があるものや、会いたい人や、訪れたい場所を目指すことは、お金や時間よりもまず、体力と精神力を要する。超絶めんどくさい。ネットに繋がらない場所、すぐ停電する宿、言葉が通じないから身振り手振りでオーダーしなきゃいけないレストラン。あーめんどくさい。と言いながらニヤニヤする。めんどくさい旅行ほど最高なのだ。

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私には、急に日常を飛び出したくなる衝動がよくわかる。勇気を振り絞って飛び出すと、言葉も通じないような誰かが受け止めてくれたり、同じような仲間ができる。そうやって飛び出してきた友人たちが、私の自宅にスーツケースを持ってやってくる姿を見るのが面白くてたまらない。よく知っているはずの人なのに、見たこともない顔で笑ったり、これまで教えてくれなかった話をしたりする。ソファーがあるのに、床にぺたりと座る子もいれば、キッチンでワインを飲みながら何時間も立ち話することもある。何年も会っていなかった友達もいれば、先月東京で会ったばっかりの友達もいるのだけど、旅行中の友達の顔ほど眺めていて面白いものは無い。場所を提供するだけなのに、得るものが多すぎて、私はすごく得をしていると思う。いつもは忙しく仕事ばかりしている友達の、旅人としての顔を目に焼き付ける。彼らが帰ってしまった後も、いただいたお土産を美味しく味わいながら、iPhoneの写真を見ながら今日も部屋でニヤニヤしている。

10693529_695958263827745_1963893603_n.jpg旅人モードの友達を連れて行く場所を考えるのも楽しい。

10666257_624833167637404_1835578881_n.jpg大切な友達が数人同時に旅行に来た週末には、レストランを予約せずに家でランチをして最高に楽しかった。

AirBnBやれば?とよく言われるのだけど、私はそうやって友達が旅人モードになってる状態をおもしろがってるだけだから、システム化するのはイヤかも。だって、その友達に合わせてスケジュール組んだり、遊びに行く場所や食べるご飯を考えることで、私自身も旅人モードになれるんだから。しかも自宅で!次は誰が来るかなぁ。

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